今年の桜は、3月16日に京都で、19日に大阪で観測史上最も早く開花するなど、全国的に平年よりもかなり早く開花しました。
朝来市ではピーク迎えたところが多く、今日は遅咲きの桜が見られる神子畑地域を訪れたいと思います。
神子畑地域は、日本遺産「鉱石の道」に関係する近代化産業遺産があることで知られていますが、最近では映画の主題歌になったUVERworld(ウーバーワールド)のミュージックビデオのロケ地として取り上げられるなど、異空間な雰囲気が魅力の地域でもあります。
神子畑選鉱場は、1919年(大正8)に明延鉱山の選鉱施設として建設され、最盛期には規模・産出量ともに東洋一と謳われた選鉱施設です。
機械選鉱場の建物は解体され、鉄筋コンクリートの基礎部分が残っているだけですが、今でも山の斜面を利用した選鉱場跡は迫力満点です。
液体中に混じる固体粒子を分離する装置シックナーです。
古代の神殿のように神秘的で、まるで異空間にいるような大迫力の産業遺構は、ミュージックビデオのロケ地として取り上げられるのも納得です。
選鉱場の上下を結んでいたインクライン跡です。
レールや枕木が現在も残されています。
明延鉱山と神子畑選鉱場を結んだ明神電車で使用されていた一円電車が展示されています。
写真の左から機関車・客車・鉱車です。
明神電車は明延と神子畑を結ぶ約6kmの専用軌道で、乗車料が一円だったことから「一円電車」の愛称で親しまれました。
明治政府が近代鉱山開発を進めるなかで、当時生野にあった外国人居住の一部や鉱山事務所を神子畑に移しました。
現在は、その鉱山事務所がムーセ旧居として、神子畑選鉱場などの資料が展示され、神子畑の歴史を伝えています。
鉱石の道神子畑交流館「神選」は、2020年にオープンした施設で、明延鉱山から神子畑選鉱場を一円電車でつないでいた頃を再現したジオラマや、神子畑地域に伝わる神輿などを見学することができます。
神子畑選鉱場跡から神子畑川沿いに2kmほど下流に行くと神子畑鋳鉄橋があります。
神子畑鋳鉄橋は、神子畑鉱山で採鉱された鉱石を生野の精錬所へ運ぶために作られた鉱石の道にある日本最古の鋳鉄橋で、国の重要文化財に指定されています。
さらに神子畑川沿いに1kmほど下流に行くとミツマタの群生地があります。
花のピークは過ぎていましたが、山の斜面一帯に群生するミツマタはどこか幻想的な雰囲気が感じられました。
国道312号線の朝来インター東の交差点から南へ1kmほどのところに羽渕鋳鉄橋があります。
羽渕鋳鉄橋は、「羽渕のめがね橋」とも呼ばれる鋳鉄製二連の美しい洋式の橋で、神子畑鋳鉄橋とともに日本に現存する貴重な鋳鉄橋のひとつです。
円山川の両岸に植えられた桜並木と羽渕鋳鉄橋の風景は、今しか味わえない風情があります。
神子畑の桜は遅咲きの桜で、例年であれば、4月中旬に行われる神子畑桜まつり(今年もコロナ禍で中止)の頃に満開を迎えるのですが、今年は開花が非常に早く、今日訪れたときにはピークを過ぎて路上に花びらがかなり落ちていました。
朝来市ではピークを過ぎたところが多いですが、但馬地域では、まだ桜の楽しめるところがたくさんあると思います。
自分だけのとっておきの場所を探して、リフレッシュしてはいかがでしょうか。
神子畑選鉱場跡散策から帰る途上、土肥集落の色鮮やかな場所が気になり、行ってみると・・
地元の方から声をかけていただき、見事なハナモモの庭を拝見することができました。
何本もの色鮮やかなハナモモが満開で、なかには1本の木に紅と白の花が咲いているハナモモもあり、すばらしい一時を過ごすことができました。
地域の方のあたたかい出会いに感謝の一日でした。
2021朝来市桜風景
取材日2021年3月27日
取材日2021年3月29日