１０月の初め、六方田んぼに少し珍しい鳥が入ってきました。クロハラアジサシという、カモメ科の鳥です。河口から１５ｋｍほどの豊岡盆地には、円山川をさかのぼってカモメが時々入ってきます。アジサシの仲間もやってきますが、ごくまれです。
アジサシの中でもクロハラアジサシは、内陸の湿地にもよく飛来するグループで、その習性からこのグループをヌマアジサシと総称することもあるようです。

今回六方田んぼで観察したクロハラアジサシは、今年生まれの若い個体と思われますが、冬羽のクロハラアジサシを私は初めて見ました。冬羽では、クロハラアジサシの特徴である腹が黒くありません。

こちらは、今年の５月に、同じ六方田んぼに飛来したクロハラアジサシの夏羽です。腹が黒い様子が分かります。また頭が黒く、くちばしは赤いです。冬羽ではこのような特徴が消えてしまうので、識別が難しくなります。
今回飛来した冬羽のクロハラアジサシは、六方田んぼで１周間ほど観察されたあと、見なくなりました。越冬地のオーストラリア方面へ、長い旅を続けていることでしょう。
写真・文　コウノトリ市民研究所　高橋　信