今年は桜の開花が平年よりもかなり早かったためか、早くも新緑がまぶしい季節を迎えています。
そんな中、今日は新緑が映える玄武洞公園を訪れました。
玄武洞公園には、道路沿いの駐車場に車を止めて、玄武岩の敷き詰められた石畳の階段を上っていきます。
兵庫県豊岡市にある玄武洞公園は、160万年前、火山の噴火で流れ出た溶岩が造り出した柱状節理の壮大で美しい景観を楽しめる山陰海岸ジオパークのサイトの1つです。
玄武洞は玄武洞公園にある5つの洞のなかで最も大きな洞で中心的な存在です。
清々しい新緑の季節は、見事な柱状の節理(岩石の割れ目)を持つ神秘的な玄武洞をより神秘的に演出しています。
ちなみに、「玄武洞」という名前は、江戸時代にこの地を訪れた儒学者の柴野栗山が柱状節理の形状になぞらえて名付けたそうです。
見た目は鍾乳洞に似ていますが、鍾乳洞は石灰岩が雨水などに侵食されてできた洞窟で、玄武洞の洞窟は採石によりできたものです。
玄武洞はかつて採石場で、採石された玄武岩は家の石垣や庭石、漬物石に使用されていたそうです。
玄武洞横の石垣の上には、岩肌の断面が六角形になっており、隙間なく積み上がった柱状節理を見ることができます。
青龍洞は、柱状節理が美しく、学術的にも重要なため、玄武洞とともに国の天然記念物に指定されています。
洞の高さ33m、幅40mにも及び、曲線型の柱状節理は、世界的にも珍しいと言われています。
また、柱状節理の高い部分に“落ちそうで落ちない石”があり、その「落ちない石」にあやかって、受験シーズンになると、合格祈願に訪れる方が多いそうです。
自然がつくり出した芸術とも言える神秘的な柱状の節理を間近に見ることができます。
かつて玄武洞公園はあじさいの名所としても知られていましたが、シカの食害で一時は壊滅状態にまでなりました。
公園でガイドを担当するNPO法人「玄武洞ガイドクラブ」の皆さんにより防護ネットで囲むなどの活動で現在の状況まで戻ってきたそうです。
紅葉の季節の玄武洞も良いですが、生命の息吹を感じることのできる新緑の季節に、玄武洞の約160万年の歴史が演出する自然美を眺めるのもまた違った魅力があります。
ちなみに、地球の不思議を謎解きしたり、火山噴火と溶岩流実験をジオガイドの案内で体験することができます。
詳しくはこちら
⇒玄武洞ガイドクラブホームページ
山陰海岸ジオパークについて詳しく知りたい方はこちら
⇒山陰海岸ジオパークホームページ
新緑の映える但馬を散策
取材日2021年5月23日