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ラショウモンカズラ なんかすごい名前ですね

ラショウモンカズラ シソ科

ラショウモンカズラは、不思議な分布をします。ある所にはたくさんあるのですが、どこにでもあるというものではありません。例えば、蘇武岳の村岡区側ではよく見るのですが、反対側の日高町側には1カ所では知られていますが、非常に小さな群落です。豊岡市には他に3カ所で知られていますが、他にはない特異な環境に生育します。新潟県では、「ラショウモンカズラ型」分布とされる植物群が知られています。但馬でも分布に何か規則があるのかもしれません。

ラショウモンカズラは、4月~5月に花を咲かせます。例年だと但馬はゴールデンウィークあたりが盛りになりますが、2021年は異常に季節の移り変わりが早いので、連休には花は終盤になるのかもしれません。

ラショウモンカズラは、紫色の大きな花を横向きに咲かせます。これが切り取られた鬼の腕に見えるというのですから昔の人の想像力はすごいものです。この花の形、向き、大きさは、花粉の運び手であるマルハナバチに向けて進化したと言われています。写真にも写っていますが、花の上部に雌しべが見えます。

日当たりのよい場所に咲いているラショウモンカズラは元気いっぱい立ち上がっています。かずら;蔓という名前にはそぐわない姿です。一方で、日当たりのよくない場所では茎が這っています。地上茎から走出枝が伸びていって、地に接した部分から根を出して栄養繁殖を行うとも言われています。

 

さてラショウモンカズラという名前ですが、羅生門で切り落とされた鬼女の腕に花の形(長い花筒部が急にずんぐりと太くなっている)が似ていることから来ています。古名には、瑠璃蝶草(ルリチョウソウ)という優雅な名前もありますが、この名前は今ではロベリアの仲間の園芸植物の名前に使われています。

ところで、ラショウモンは羅生門(羅城門)で、平安京の雀大路の南端に位置する正門として設けられた門です。やがて荒廃し、芥川龍之介の『羅生門』に書かれているように、楼閣の上には身寄りの無い遺体がいくつも捨てられるような場所となり、様々な鬼や妖怪が出る場所となったとされています。とここまで長々と書いていますが、この鬼の腕を切り落とした人は平安時代の武将である渡辺綱という人です。この渡辺綱は、但馬の国司であった源頼光の四天王(渡辺綱、坂田金時、碓井貞光、卜部季武)の筆頭の人で、大江山の鬼退治にも同行しています。また、日高町上郷の頼光寺は、源頼光に由来しているとされ、冒険家植村直己の墓所にもなっています。ラショウモンカズラは、但馬と縁のある名前だと言うこともできそうです。

 

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