ウマゴヤシ マメ科
コメツブツメクサという植物があります。葉は小さな三つ葉で、花は黄色で長さ3〜4mmと小さなものを5〜15個球状につけます。これはもう至るところにあり、5月、6月の観察会では必ず出てきます。幸いなことに市内には似た植物はほとんどなく、細かな部分を見ることなく自信を持って「コメツブツメクサです。」と断言してきました。
ところが、困ったことにウマゴヤシが増えてきたようなのです。
私がウマゴヤシを最初に見たのは40年以上前で海岸の近くでした。それ以降も海岸の近くでは何度も見ていますが、それ以外の場所では見た覚えがほとんどありません。だから自信を持って「コメツブツメクサです。」と断言できていたのです。それがここ数年、私の家の近くでよく見かけるようになりました。
まあ、落ち着いてみれば見分けることは簡単です。葉の大きさも形も違います。花の形も数も違います。しかしそれは見慣れた人限定です。誰でも分かる識別点があれば便利ですね。
あります。一つ目は托葉です。托葉というのは葉の付け根にある葉のようなものです。ウマゴヤシの托葉は、縁が不規則に裂けます。そしてその先端が針のようにとがります。実はウマゴヤシやコメツブツメクサの仲間は結構多くあるのですが、こんな托葉を持つのはウマゴヤシだけです。
もう一つ分かりやすい識別点があります。果実です。とげがたくさんついている螺旋形の円盤のような形をしています。とげの先端は鉤状に曲がります。この形はコウマゴヤシもほぼ同じですが、托葉が裂けることはありません。
ウマゴヤシは、漢字で書くと馬肥やしです。馬がよく太る優秀な牧草なんでしょう。
ウマゴヤシは江戸時代初期に牧草として導入され、以後、日本各地で生き残ってきた植物です。
ムラサキウマゴヤシという花が紫色のよく似た植物がありますが、こちらはアルファルファという名前の方が有名かもしれません。もやし状の幼苗がアルファルファ・スプラウトとして、サラダ等で利用されます。人にも栄養満点なようです。