サナギタケ
(バッカクキン目、 バッカクキン科、冬虫夏草属Cordyceps militaris (Vuill.) Fr.)
蛹茸
香美町村岡区の兎和野高原で、冬虫夏草を見つけた。ブナ、ミズナラ、スギなどの森で、腐葉土の地面から、オレンジ色の棍棒状のキノコが生えている。掘り返してみると大きな蛹からキノコが生えている。蛹はスズメガの仲間のトビイロスズメだと思われる。
冬虫夏草、冬は虫なのに夏には草になるという意味、少し乱暴な表現である。ガやトンボなど昆虫類にキノコの菌糸が入り込み、やがて昆虫の体内で虫体を栄養源にはびこり、最終的には宿主(虫)を殺しキノコを発生させる。イモムシタケ、トンボタケ、セミタケ、、いろいろな種類がある。今回見つけたのはサナギタケ。鱗翅類の蛹からキノコを発生させる。
冬虫夏草は近年盛んに臨床的研究が行われ、冬虫夏草からの抽出物質の持つ免疫抑制効果、抗癌作用が明らかになり、カイコを育て、サナギタケを栽培し、乾燥、滅菌、粉砕して冬虫夏草製品として販売もされている。販売業者のサイトには、核酸系の化合物コルジセピン、ガン細胞に有効な免疫物質β-グルカン、体内のガン細胞を殺すナチュラルキラー細胞数を増やし活性化するホルモンであるメラトニン、腫瘍壊死因子のTNF-αが含まれていると記載されている。中国では昔から不老不死、強精強壮の秘薬として重用され、結核、慢性喘息、慢性気管支炎、慢性腎炎などの薬として用いられたとのこと。
サナギタケによく似たキノコは近縁のイモムシタケ。ほとんど同じようなものらしい。
ちょっと見にはベニナギナタタケにも似ていますが蛹から出ているかどうかで間違うことは無いと思います。
薬効優れたサナギタケであるが、大きなトビイロスズメの蛹に白い菌糸で覆い、頭部から出ているサナギタケを見ると、服用してみる気にはなりませんでした。
2011年10月9日 兎和野高原 3枚目のみ持ち帰り10月15日自宅で撮影