ヤブカンゾウ

執筆 菅村定昌   掲載 2016年07月24日 22時31分   カテゴリ たじまのしぜん » しょくぶつ

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ヤブカンゾウ  Hemerocallis fulva L. var. kwanso Regel ススキノキ科



 「お、いい感じで咲いてるぞ」と思いながらもなかなか写真を撮る時間が取れずにいました。



 車から横目で見ると花の姿がすっきりとしているし、雄しべもたくさん見えました。これは、ノカンゾウかなと思っていました。でもじっくりと見てみると花びらの数は10枚以上あります。これは八重咲きです。一重はノカンゾウで、八重はヤブカンゾウです



この淡い緑でよく目立つ。堤防を歩くとすぐに見つかる。

 ヤブカンゾウは、人里近くの道端や堤防にたくさんあります。春先は、他の植物が少ないのでよく目立ちます。もっともこの時期は、ヤブカンゾウとノカンゾウの区別は付きませんが、但馬ではノカンゾウはまれですので、ヤブカンゾウと思って大きく間違いではないでしょう。この時期は、ヤブカンゾウは山菜として有名です。http://www.tajima.or.jp/modules/nature/details.php?bid=465 に記事があるので参照して下さい。



少し大きくなりすぎているが十分おいしい。

 春先には至るところに見られるヤブカンゾウですが、花はあまり見かけません。人里近くの道端や堤防に生えるので花が咲く前に刈り取られてしまうのです。



 私の村は選抜チームが堤防の草を刈ります。私が参加するときは、ヤブカンゾウだけを残して刈り進めようとしていますが、草刈り機でヤブカンゾウだけを刈り残すのはなかなか難しいものがあります。数年間、努力して残し、花が咲いたときはうれしかったです。


葉はこんな感じ。


このつぼみは湯がいたり炒めたりして食べるとおいしいらしい。乾燥したものは「金糸菜」として中華食材店でも売られている。たくさん花が咲くなら食べてみたいがそんな場所には出会えない。草刈りのタイミングを考えたいと思う。


 ヤブカンゾウは、一日花です。属名のHemerocallisは「一日の美しさ」という意味で一日花であることを表しています。但馬には、他にノカンゾウとユウスゲが自生します。ヘメロカリスという名前の園芸植物も同じ仲間です。

サシバ

執筆 コウノトリ市民研究所   掲載 2016年07月14日 18時01分   カテゴリ たじまのしぜん » どうぶつ

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谷沿いの立ち枯れの枝先に、サシバが止まっているのを久しぶりに観察しました。サシバはカラスよりひと回りほど大きいタカの仲間で、但馬には夏鳥として飛来し山中で繁殖します。谷地田が人の手によって管理されていた時代には、山の田んぼを餌場としているサシバも多く見られました。山の田んぼの多くが放棄された今では、すっかり珍しい鳥になってしまいました。


今回サシバがいた場所は、やはり谷地田のそばでした。木の上からしきりに地上を覗いながら、鋭い視線で餌動物を探します。すーっと音もなく急降下したかと思うと、すぐに獲物をくわえて同じ枝に戻ってきました。ご馳走は、どうやらモリアオガエルのようでした。


食べ終えると、「ピッ・クィー ピッ・クィー」という特徴的な鳴き声を上げながら、森の中へと飛び去って行きました。

写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信

キソウメンタケ

執筆 稲葉一明   掲載 2016年07月02日 15時26分   カテゴリ たじまのしぜん » きのこ

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キソウメンタケ(SP.)   ヒダナシタケ目 シロソウメンタケ科 ナギナタタケ属
黄素麺茸           (Clavulinopsis helvola)




 ソウメンタケの仲間は、キノコ図鑑の中でも一種独特で存在感がある。ひょろりとして立ち上がりる形状。赤、白、黄、紫、、、色とりどりで華やか。
 キソウメンタケは黄色からレモン色で、この個体は森の中でレモン色に蛍光色を帯びたように見えてとても美しかった。
 夏から秋、林内地上生。3~10センチ程度、中空。単生あるいは束生。先端は尖らず鈍頭、まれに分岐する。老熟すると先端は色濃くなるものが多い。根元はすぼまっているとの記載が多いが、写真のものはそうとも言えない。微妙な変異も多く、複数の信用できそうなサイトで紹介されているものを見てみると、同種とは思えないくらい幅が広い。一口にキソウメンタケといっても分類が進めば多種に渡っていているのかもしれない。属についてはシロヒメホウキタケ属としているものも多い。こちらはRamariopsis helvolaと記載 。よくわからないので、キソウメンタケ(SP.)としておきます。

こちらは老成

湿原の絶滅危惧種 ヒラサナエ

執筆 上田尚志   掲載 2016年06月28日 07時05分   カテゴリ たじまのしぜん

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中国山地の草原や湿原には寒冷期の動植物が点在して生息していることが多い。いずれも生息地は分断され絶滅の危機に瀕している。ウスイロヒョウモンモドキは中国山地の草原の絶滅危惧種として有名だが、このヒラサナエは湿原の絶滅危惧種だ。湿原の中の小さな流れ、カキツバタやオタカラコウが生えるような場所が生息地。中国山地でも限られた場所にしか生息せず、兵庫県のレッドデータAランク。5月から7月にかけて現れる。植物の葉に止っていることが多く、生息していれば見つけること比較的簡単。但馬高原植物園内の湿地にも生息するので、ここで観察するのがおすすめ。



ヒラサナエのメス。よく似た種が多く、ていねいに見ないと識別は困難。



ヒラサナエだと確認するにはオスの腹部末端をマクロ撮影しておくとよい。

シロウマアサツキ 

執筆 菅村定昌   掲載 2016年06月25日 09時27分   カテゴリ たじまのしぜん » しょくぶつ

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シロウマアサツキ ヒガンバナ科ネギ属





これはシロウマアサツキです。



 アサツキはお店屋さんにも売っています。優秀なネギです。但馬にはたくさん自生しているとずっと信じていました。そして、いろんな人にアサツキですと言ってきました。



 ところが、アサツキではなくシロウマアサツキでした。思いこみのなせるわざです。図鑑の記述を読んで花を見るとアサツキでないことは一目瞭然です。あまりに普通にあるので読んでませんでした。深く反省です。



 アサツキに違いないと思いこんでいました。だってシロウマアサツキという名前ですよ。きっと白馬岳周辺に多いのでしょう。白馬といえば、北アルプスの白馬岳(2932m)です。どう考えても北方系の植物か高山植物だと思います。この植物は、但馬では、海岸線近くに特に多いです。海岸は温かいところです。海岸に多い植物を高山植物とはなかなか思いませんよね。


ここは砂浜の終端部。少し数が減った。竹野。

 しかも、北方系だと思っていたシロウマアサツキですが、白馬岳のある長野県では絶滅危惧種になっています。本家本元の長野県で稀少なら但馬にたくさんあるわけないと思うのが普通です。ちなみに、東日本では、 青森県、秋田県、福島県、群馬県、新潟県、長野県で絶滅危惧種に指定されています。北方系と思われている植物が北日本で絶滅に瀕しています。特別に稀少な植物に違いないと思いませんか。こんなものが西日本に普通にあるなんて思いませんよね。



 「まさかシロウマアサツキが但馬にあるなんて」と思ったのは私だけではありません。植物を専門に研究されている方々が書かれた本にもアサツキと書かれていました。例えば、昔の図鑑には、「本州(中部地方以北)・北海道」などど書かれていました。今の図鑑には、「北海道、本州(北から山口県まで)、サハリン(樺太)、北朝鮮、アジア東北部、東シベリア。」などど書かれています。よく言えば、生き物の世界は奥が深いというのか、まだまだ楽しみがたくさん残っているというのか、・・・ですね。



 2008年に「京都府北部に点在することが明らかとなりました」という報告が出ました。(日本植物分類学会誌『分類』 Vol. 8 - No.2 津軽俊介「日本植物分類学会賞受賞記念論文 標本に学ぶ」)「きっと丹後だな、但馬にもあるに違いない。但馬も調べなきゃ」とは思いましたが、点在するという言葉に捉えられて、但馬にあっても稀に違いないと思い、後回しになりました。この時に写真を見るくらいすればよかったと思います。一目で分かるんですから。


2003年に撮った写真。この写真だけでシロウマアサツキだと分かる。一手間惜しんだのが大失敗。


 京都府レッドデータブック2015に「高山の草地を中心に分布しているものだが、近年府北部に広範囲で生育することが確認された。」「強健なものであり個体数も少なくない」とありました。「但馬にもたくさんあるに違いない。今度こそ調べなきゃ」と思いました。そんな時に、コウノトリ市民研究所の「コウノトリ野鳥観察会6月」がアナウンスされました。観察会はアサツキの群生地がある場所です。早速、申し込みました。

 観察会の場所には、かつて一面にアサツキが広がっていました。草刈りの頻度が低くなって年々まばらになってきていますが、毎年のように自然学校で子どもたちに「アサツキです。野生のネギです。おいしいです」と説明してきました。


かつてはアサツキだけが広がっていた。今は、こんな状態だ。奈佐。

 一目でシロウマアサツキと分かりました。区別は実に簡単です。
 アサツキとは花の構造が異なります。花弁に対するおしべの長さが違います。

  アサツキ     雄しべの長さが花被片の1/2〜2/3
  シロウマアサツキ 雄しべの長さが花被片と同長


明らかに雄しべが突き出しているので、これはシロウマアサツキ。神鍋。

 花からおしべが突き出して見えていれば、シロウマアサツキです。
 もう一つ大きな違いがあります。シロウマアサツキは種子をつけますが、アサツキは種子をつけません。
 花の時期と種子の時期以外は識別は困難です。このこともシロウマアサツキがアサツキと思われていた原因の一つだと思います。

 どうやら但馬のアサツキは、シロウマアサツキのようです。アサツキを見つけることの方が目標になりそうです。



ツバメの災難

執筆 コウノトリ市民研究所   掲載 2016年06月12日 13時54分   カテゴリ たじまのしぜん » どうぶつ

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コウノトリ文化館の軒下に、ツバメ用の巣台が設置してあります。開放的な施設であるため、繁殖期のツバメは館内に侵入しようと、何度も様子を伺っています。スタッフがツバメ除けの反射テープなどで忌避処置を施すのですが、それでも果敢に侵入してくるものがいます。

せめて軒下で営巣してもらうよう設置された巣台ですが、長いあいだ利用されたことがありませんでした。昨年、ようやくここにツバメが巣を作って抱卵に入りました。もうすぐヒナが生まれるだろうと楽しみにしていた矢先、何者かに巣を襲われてしまいました。

このとき、巣を襲ったのはテンかカラスか、どちらかの仕業と考えました。巣ごと、地上に落とすという乱暴な襲い方は、しかし、犯人はカラスである可能性が高いと思われました。

今年も、同じ軒下巣台にツバメが巣を作りました。


巣作りが終わってしばらくして、抱卵が始まりました。親が抜けたすきに、巣の中を確認しました。5個の卵がありました。

産座には白いフワフワの羽毛が敷いてあります。ひょっとしたら、コウノトリの羽毛かもしれません。ここのツバメは、コウノトリの羽根に抱かれて産まれてくると考えると、なかなか幸せな気分です。


オスとメスは交代で卵を温めます。2週間が経過し、いよいよヒナの誕生が迫ってきました。業務中もときどき巣を見上げて、抱卵中のツバメの姿を確認します。


閉館近くになって、スタッフがツバメの異変に気づきます。2羽が激しく鳴きながら、巣の回りをホバリングで飛び続けていました。地上には、巣材の一部が落下していました。見上げると、巣の一部がひっくり返された形跡が見られました。

この瞬間、「やられた!」と直感しました。巣の中を確かめると、5個の卵は跡形もなく消えていました。ヒナはまだ誕生していなかったように思います。孵化直前といったところでしょう。中では、ヒナが殻を破ろうと力をみなぎらせていたかも知れません。

すぐ近くでカラスが鳴いていました。林の中にはカラスの巣もあります。食べ盛りの「カラスの仔」が巣の中にいるのかも知れません。孵化直前のツバメの卵は、そんなカラスのご馳走になったことでしょう。

それにしても、昨シーズンもそうでしたが、カラスはツバメの巣を襲うタイミングを見事に計算しています。営巣しはじめると、日記でもつけるように、抱卵日数をカウントしているように思うのです。そして、卵の中でヒナが形成され、いよいよ生まれようかというギリギリのところで、巣を襲って卵を奪ったのです。カラスは知能が高い鳥ですが、この計算づくにはびっくりします。

徳島県鳴門市で営巣した若いコウノトリペアの巣から、カラスが卵を持ち去ったニュースが大きく報道されました。無精卵を親が放棄したのを持って行ったようなので、あまりカラスを悪者呼ばわりするのもかわいそうです。コウノトリの郷公園前の祥雲寺巣塔では、今年度の営巣中に4卵のうち2卵がカラスにやられました。親鳥のほんの僅かな油断やスキを、カラスは一瞬のうちに突いてきて、巣の中の卵をさらってゆきます。

2年連続で、コウノトリ文化館軒下のツバメの巣がカラスに襲われ、ここからヒナが巣立つことがありませんでした。カラスにやられる運命の場所を選んでしまったのが、ツバメの不運と思うことにしましょう。自然界は、食う食われるのチェーンで連綿と繋がれています。知恵を使い、幸運を持ち、生きる力に優れたものだけが生き残れる厳しい世界です。

今回の事例では、カラスに襲われる前に人間側が何かヘルプできることがあったのかも知れませんが、その瞬間まで、カラスはまったく近寄る素振りも見せずに、ツバメだけでなく私たち人間にも悟られることなく事に及んだのです。賢いカラスの完勝でした。

次の繁殖に向けて、誘導用の巣台の位置を変えたほうがいいかも知れません。ツバメはシーズン中2回目、3回目の繁殖をします。人とツバメの戦いはまだ続きますし、ツバメとカラスの戦いもまだ続くのです。

写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信

シロテングタケ

執筆 稲葉一明   掲載 2016年06月04日 18時11分   カテゴリ たじまのしぜん » きのこ

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シロテングタケ   ハラタケ目 テングタケ科 テングタケ属
白天狗茸           (Amanita neoovoidea)





シロテングタケは存在感のあるキノコである。大きいし、形が特徴的で、群発生していることが多い。傘の直径は10cmを超える。ほぼ真っ白なキノコであるが、傘には薄茶色のツボの破片が不規則にくっ付いている。また、傘の周りからは、ツバの破片が垂れ下がることが多い。とても特徴的で魅力的である。このキノコを見ると、なんとなく幽霊を思い出してしまう。また、幼菌は薄茶色まんまるな頭のお坊さんを思い出す。

毒キノコである。学研の「日本の毒キノコ」(2003)では激しい下痢や幻覚などの中毒を起こすとされている。ところが、山渓の「日本のキノコ」(1988)では食毒については触れられておらず、家の光協会「きのこ」(1988)可食となっており料理法まで紹介し、量は控えることと書いてある。どうなっているのだろうかと不思議に思っていた。


今回、改めてネットの情報を調べていたら、謎が少し解けた。東北地方にシラフタケと呼び、食用菌として利用している地域があるというのだ。その外見から普通は食用にされることはなく、キノコ利用の少ない西日本においては全く食用としては見向きもされていない。だから、昔の図鑑では食毒不明や可食と記載されており、近年は毒成分が確認できていることと、安全第一主義から大げさに毒菌として扱われているのだろう。

豊岡の里山には普通に生えているが、但馬のシロテングタケと東北で食用とされているシラフタケが毒性において同一とは考えないほうが良いだろう。種自体が違う可能性もあるし、毒性の強弱が系統により大幅に違うかもしれない。




いずれにせよテングタケ科に属していて、近縁種には、死に至る猛毒菌が多い仲間であるので、チャレンジはしないほうが良い。個人的にはテングタケ科はタマゴタケ、カバイロツルタケ以外は食べないようにしたい。

アメフラシ類の産卵

執筆 コウノトリ市民研究所   掲載 2016年05月31日 12時27分   カテゴリ たじまのしぜん » どうぶつ

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後鰓目 アメフラシ科

 今の季節、磯ではアメフラシ類の産卵が始まっています。浅瀬にもいるので陸からでも岩場に集まっているところを見ることがあります。但馬の海にはアメフラシの仲間は何種類か住んでいるようです。巻貝の仲間でして、小さな貝殻が背中に埋まっています。外見からは貝殻は見えません。
この写真は産卵中と思われます。雌雄同体です。この黄色い麺のようなものが卵塊です。ウミソウメンと呼びます。食用になるウミソウメンもありますが、それは海藻の一種でして、アメフラシの卵ではありません。



 こちらはかなり大きな個体で30センチほどありました。ワカメを食べているようです。アメフラシ類は藻食です。対してアオウミウシなどのウミウシ類は肉食でして、カイメンなどを食べます。



 こちらは産み終えた卵塊。けっこう大きな塊です。



 浅瀬にいた個体。アメフラシは英語でSea hare(Hareは野ウサギのこと)と呼びます。つまり、「海のウサギ」です。上に突き出した触角がウサギの耳に見えるからだそうです。ナメクジやカタツムリと違い、眼はこの触角の付け根にあります。眼はとても小さいので、この写真ではわかりません。見た目がナメクジに似ているので、あまり好まれないかもしれませんが、「海のウサギ」と思って見るとイメージが変わるかもしれません。

写真・文 コウノトリ市民研究所 北垣和也

ヤマフジ

執筆 菅村定昌   掲載 2016年05月26日 22時08分   カテゴリ たじまのしぜん » しょくぶつ

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ヤマフジ マメ科


ヤマフジ 大杉峠

 山にあるからヤマフジ、藤棚にあるからフジというわけではありません。山にあっても多くはフジです。藤棚のフジも台木はヤマフジです。


ヤマフジ 花穂は短くて10〜15cm。花は同時に咲く。花は横を向いて咲く。



フジ 花穂は長くて20〜50cm。花は基部から順に咲く。花は正面を向いて咲く。

 但馬のヤマフジはなかなか興味深い生え方をしています。例えば、豊岡市日高町と香美町村岡区の間には蘇武トンネルという長いトンネルがあります。このトンネルの日高側にはフジが、村岡区側にはヤマフジが見事にすみ分けています。養父市関宮町の鉢伏高原ではフジですが、隣の村岡区のハチ北高原に行くとヤマフジが見られます。養父市大屋町では、大杉峠はヤマフジですが、峠を下るとフジが圧倒的です。詳しく調べるときっちりと線が引けそうです。


ヤマフジ 花の房が短いので運転しながらでもヤマフジと分かる。


フジ

 ヤマフジの分布は昔から調べられていて、兵庫県では、「兵庫県では円山川と市川が分布の東限で、これらを結ぶ地域から東側では、自生は知られていない。」兵庫県大百科事典1983、「加古川が分布の境界と思われる」『兵庫県の植物誌』1995、「市川・朝来川流域以西にしか分布しない」『人と自然』「兵庫県産維管束植物」1999、などと言われています。これはよほどお気に入りの内容なようで兵庫県の環境白書には毎年「ヤマフジは九州、四国と中国地方にあり、姫路市の市川より東の地域にはありません。」2016 と書かれています。分布の東限なのですから特記したくなる気持ちはよく分かります。


赤○;市川の源流と河口 紫○;加古川の源流と河口 オレンジ○;円山川の源流と河口
緑○;ヤマフジが普通にたくさんあるところ。

 ところで、京都府レッドデータブック2002 には、「兵庫県以西の西日本に分布域をもつとされ、京都府では1996年になって北部地域で記録された(村田・津軽, 1998b)。」とあります。京都府レッドデータブック2015では、「府内の分布記録区域 丹後地域、中丹地域。とくに減少しているわけではないが、学術的価値の高さを重視してランクを上げた。中丹は白花、丹後は薄紫の花。」とあります。


ヤマフジ 小葉は4〜6対。


フジ 小葉は5〜9対。

 『樹に咲く花』2000、には、「本州(近畿地方以西、中部地方にまれにある)、四国、九州」とあります。


ヤマフジ 葉の表裏に毛がある。特に裏面には絨毛が密生する。


フジ ほとんど無毛。この写真は春先なので毛が残っている。やがて脱落する。


少し慣れれば花の時期は、一目でヤマフジと分かります。花がなくても葉を見れば間違えません。探してみて下さい。

アカガシラサギ

執筆 コウノトリ市民研究所   掲載 2016年05月23日 22時26分   カテゴリ たじまのしぜん » どうぶつ

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秋の渡り時期に、稀に豊岡盆地に迷い込んで観察される小型のアカガシラサギ。中国大陸の南北を行き来する渡り鳥なので、日本での観察例は多くないです。最近は日本での繁殖例も報告されており、今後は観察頻度が増えてくるかもしれません。

秋のアカガシラサギは非繁殖羽に換わっていて、名前の由来である「赤頭」目撃するチャンスがこれまでありませんでした。


この春、ようやくその「赤頭」を見ることができました。繁殖羽の、美しいアカガシラサギです。コサギより小さく、写真で見るイメージ以上に小さなサギでした。

田植え前の湛水田に入ったのを、偶然通りかかった鳥仲間が見つけて教えてくれました。突然水が入って、土の中でのんびりしていたカエル、ミミズ、ケラなどの生きものを次々に捕まえてゆきます。


縮めていた首を伸ばすと、突然大きな鳥になったようです。首の回りに赤い羽があり、後頭部には同じ色の冠羽があります。繁殖期の鳥の多くがこのよう美しい飾り羽根を持ち、美しい声で囀ります。


アカガシラサギは警戒心のあまり強くない鳥で、撮影のために身を晒していても遠くに飛び去ることはありませんでした。数日間、同じエリアに留まり、その間に始まった代掻きのトラクターに付いて回って、効率的に餌を採っていました。この行動は、他のサギでも同じように見られます。


翼を広げると、この鳥がサギの仲間であることがよく理解されます。頭と背中の羽根以外は真っ白です。アカガシラサギは飛翔姿も、とても優雅で美しい鳥でした。

但馬でもなかなか目撃することのなかった、繁殖羽のアカガシラサギ。豊岡の田んぼでたっぷり栄養をつけて、次の中継地へと飛び去って行きました。

写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信

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