たじまのしぜんブログ
冬の水辺にやってくる鳥に中で、セキレイの仲間はもっとも観察しやすいグループです。
このあたりで観察できるセキレイの仲間を4種類紹介しましょう。 ![]() セグロセキレイです。もっとも普通に見られるセキレイです。一年中みられ、市内のあちこちで繁殖します。ちょっとした軒先や物置の片隅、放置されたトラックの隙間など、意外な場所に巣をかけて子育てをしています。 背中が黒いので背黒セキレイです。 ![]() セグロセキレイによく似ていますが、おもに冬の間によく見られるハクセキレイです。セグロセキレイとの違いを矢印で示しました。 背中はセグロセキレイほど黒くなく、灰色です。一番の識別ポイントは顔の色。セグロセキレイは黒いですが、ハクセキレイは白いです。 ![]() キセキレイです。セグロセキレイとハクセキレイはうっかりすると見間違うことがありますが、キセキレイはまず間違えることはないでしょう。その名の通り、下面が黄色いのですぐに分ります。 キセキレイは渓流で暮らすセキレイです。山に入ると沢沿いでよく出会います。冬は平地におりてきますので、田んぼや河原で見ることが出来ます。 ![]() さて、最後に紹介するのがこの鳥。上の3つのセキレイに比べると、別の仲間のように見えます。名前をタヒバリといいます。名前までヒバリと付いていますが、この鳥もセキレイの仲間です。 冬鳥で、群れで田んぼで見られます。ピピッと鳴くので英語で「ピピット」と名づけられています。 この冬は野鳥が大変少ない年回りですが、水辺にセキレイたちの姿を観察することが出来ます。いつもは見過ごしてしまうセキレイたちを、じっくり観察する機会でもあります。今回紹介した4種類のセキレイを、みなさんも探してみましょう。 写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信 ![]() タンポポ調査2010において、但馬にカンサイタンポポ以外の2倍体タンポポが複数生育していることが分かりました。シナノタンポポ、トウカイタンポポ、セイタカタンポポと思われるタンポポです。 2011年にトウカイタンポポについて調べましたので報告をしておきます。 トウカイタンポポは、名前が示すとおり東海地方を中心に生育します。今回但馬で見つかったものは工事に際して移入したものと思われます。 ![]() 写真で分かる通り明らかに人工的な場所に生育します。芝と一緒にやってきたのか、桜と一緒にやってきたのか、いずれにしても工事によって移動した土壌の中に種子が多数混じっていたのだと思われます。 施設整備によって持ち込まれたものが、堤防にも分布を広げているように思えました。数百m離れた上流にも個体群が見られました。 ![]() 個体数は、200を越えます。 非常に多様性が高く、トウカイタンポポとは思えないものもありました。 ![]() 色が淡くて、幅広い ![]() ![]() ![]() これなら文句なくトウカイタンポポ ![]() 小さいものはカンサイタンポポに近い ![]() 切れ込みがクシバタンポポに近い ![]() ![]() トウカイタンポポは2倍体タンポポですから、有性生殖をします。受粉可能な距離に複数の個体がないと子孫を残すことができません。 無性生殖なので1個体あればどんどん増えていける外来タンポポなどの倍数体タンポポとの大きな違いです。 やってきた種子数が少ないと繁殖がうまくいきませんから定着できずに数年で姿を消してしまいます。しかしここには密集して生育する場所もありますし、多様性が非常に高いのですぐには姿を消さないのではと思います。 同じような経緯でやってきたと思われる新温泉町のシナノタンポポは、最近は少し数を減らしていますが、10年以上生育を続けています。この場所のトウカイタンポポがどうなるか見守っていきたいと思います。
オオナミザトウムシ
(ザトウムシ目、 マザトウムシ科 Nelima genufusca) 大並座頭虫 SFの宇宙生物のようである。頭胸部から出ている、一対の単眼、4対の脚。山の中は小さな虫にとっては障害物だらけで、飛んだり、飛び跳ねたり、掻き分けたり、もぐったりして移動する、あるいはほとんど移動せずに生活するものが多い。しかし、ザトウムシは長い足で動体を持ち上げ、8本の足でゆっくりと歩いて移動する方法をとっている。 写真:2011年11月 兎和野高原 ![]() 冬鳥の代表選手ともいえるツグミを、今のところほとんど目にする機会がありません。 いつもの年であれば、この写真のように、人家周辺や田畑で餌をとっている姿が見られます。 「キキキ」と鋭く鳴く声もあちこちから聞こえてきます。 そんなツグミが、この冬は姿を見せないのです。 ![]() ツグミの仲間のシロハラです。大雪の後には山際によく顔を出しますが、シロハラもまったく見かけません。 ![]() さらに、庭先にも寄ってくるジョウビタキ、この鳥もツグミ科ですが、この冬はほとんど見ません。 ![]() いったいどうしたことだろうと、12月の山にあがってみると、いました、いました。ツグミです。 山の植物の実成りがよくて、餌を求めて里に下りてこなくても済んでいるのかなと思いました。 年末年始とまとまった雪になりました。大雪になると、さすがに餌に困って山で過ごした鳥たちも里におりてくるのが普通ですが、今のところ、その気配がありません。 冬鳥のいない里の風景は、どうも奇妙な感じです。水辺のカモは例年どおりに飛来していますので、冬の陸鳥の様子が変なようです。全国のあちこちで同じような声を聞きますので、但馬だけの話ではなさそうです。 この先、厳冬期になって冬鳥がどう動くのか、注目していたいと思います。 写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信
![]() ヤマジノギクは,日当たりのよい草原に生えます。この仲間の中では一番大きな花を咲かせます。海岸にはよく似たハマベノギクが生育しますが、ヤマジノギクの茎は立ち上がり、ハマベノギクは立ち上がらずに地をはいます。 よく枝分かれし、茎には毛がたくさん生えています。 ![]() 花は大きく、裏返すと総苞片が細長く先が尖っています。 ![]() 花を分解すると、ヨメナやノコンギクと大きく異なることが分かります。 花をばらばらにした一つ一つが実は一個の花に当たります。周りにある花びらのようなものを舌状花と呼び、中央にある花びらのない黄色い筒のようなものを筒状花と呼びます。 ヨメナの仲間は、舌状花にも筒状花にも非常に短い冠毛しかありません。ノコンギクには、舌状花にも筒状花にも長い冠毛があります。ヤマジノギクは、舌状花には非常に短い冠毛しかなく、筒状花にも長い冠毛があります。昔はこの特徴をもとにして別の仲間に分けられていたほどの大きな違いです。 ![]() ![]() ![]() 花の終わった後、冠毛が目立って、これだけでヤマジノギクだと分かる。 ヤマジノギクにはアレノノギクという別名があります。山の荒れ野に生えているといういうことを示す名前だと思います。ただし荒れ野は、人の適度な影響を受けた自然度の高い草原を指しています。人の手が過度に加わる草原はいたるところにありますが、そんなところは外来の植物が繁茂しています。山にあった草原は、人の影響(草刈りということです)が少なくなり、林に姿を変えてきています。生育に適した草原が激減し、山間の崩壊地や乾いた岩山の草地など自然の力で維持されている草原に分布が限られるようになってきています。 他の野菊たちが多年草であるのに比べて、ヤマジノギクは2年草です。これは他の野菊は、ある年に花をみつければ翌年もそこに行けば見られる確率が高いが、ヤマジノギクはそうでもないということを意味します。 ![]() ヤマジノギクは、この手の野菊の仲間では大きな花を咲かせます。そのために園芸化をされてもいます。 「ヤマジノギク」は、野生の花をもとに大分県農林水産研究指導センターの花き研究所で、50年前から選抜を繰り返して育成した、大分県オリジナルの花なのだそうです。紫、白、ピンクがあり、杵築市、国東市、津久見市などを中心として大分県内各地で作られており、10月中旬から12月にかけて東京、大阪を中心に出荷されているのだそうです。 元々はみかん一辺倒の栽培から他作物への転換として始まったのだそうですが、露地栽培が可能なため収益性が高く、栽培農家は年々増加しているのだそうです。 但馬にもこんな可能性を秘めた花があるんでしょうね、きっと。
繁殖期も終わり雪が降るまでのひと時、シカたちは家族で平和そうである。
大人のオスは繁殖期以外は群れに入らない。だからシカの群れというかグループは、女系の血縁で構成されているようで、お母さん、娘たち、自分と娘たちの子どもたち、というような家族構成かな。 赤外線センサーカメラにもすっかり慣れたシカたちも増えてきたようだ。カメラの前の草むらがちょうど一服するのに良いようである。 これから厳しい雪の季節がやってくる。 ![]() 秋に北から渡ってきた陸鳥は、餌が採れるうちは山の中で過ごすのが普通です。虫や木の実が少なくなり、山に雪が降りだすと、山の鳥たちも新たな餌場を求めて平地におりてきます。 ところが、今年はそんな冬鳥たちの姿がえらく少ないのです。まだ山にいっぱい餌があるのでしょうか。それとも山にも渡ってきていないのでしょうか。12月も後半になっても、田んぼでツグミの姿を見かけません。 小鳥を餌にする猛禽類も、そんな事情もあってか、なかなか姿を現すことがありません。ようやく円山川河川敷で、パトロール飛行中のハイタカを見つけました。 ![]() 同じ日の夕刻、支流の六方川中流域で、電線に止まるハイタカに出会いました。夕食を終えたところのようで、胸を大きくふくらませて、近くに寄ってもなかなか逃げようとしませんでした。餌食になったのはスズメでしょうか。 ![]() 雨の田んぼでもハイタカに出会いました。このときも食事の後のようで、まったりと時間を過ごしていました。 ![]() やがて広域農道の電柱の上に飛んで、しばらく休憩したあと、雨の中に消えて行きました。 平地に冬鳥が集まり、その冬鳥を食べる猛禽が集まり、冬の豊岡盆地の自然が営まれてゆきます。冬がさらに本格化すると、そんないつもの姿になってゆくのでしょうか。 写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信
秋から初冬に広葉樹の倒木、切り株、土中の埋もれ木から群生。カサは茶褐色でクリの色のイメージに近いものが多い、名前の語源であろう。若いカサは繊維状の薄皮をほろほろとまとっているのも特徴だと思う。キノコらしい形。ツバ、ツボはない。 近年は、毒成分を含んでいるので毒菌に分類されている本もあるが、古くから食用とされている。 間違いやすい毒菌としてはニガクリタケがある。ただ、ニガクリタケは色合いがレモン色っぽいのとやや小さめで、噛めば苦いので見分けるのは難しくない。 秋のブナ林では、クリタケ、ナメコ、ムキタケの3種が主たるねらい目になるのでしょうか。 2011年11月23日 兎和野高原 ![]() ワカサハマギクは、主に福井県から鳥取県にかけての海岸沿いに生育します。主にと書いたのは、染色体の研究が進んで伊吹山系や鈴鹿山系に生育するよく似たキクがワカサハマギクだと分かったからです。 ![]() 日本海側では、海岸にごく近い岩場に生育します。「兵庫県維管束植物8」には、海岸から15kmばかり内陸に入った場所での標本例が1例載っていますが、自生なのか疑問が残ります。幸い私の家の近くなので来年あたり詳しく調べてみたいと思います。 ![]() ワカサハマギクは、1934年に敦賀市で発見されたものに名前がつけられたそうです。敦賀市のある若狭にちなんだ名前なのでしょう。ワカサハマギクは、福井県や鳥取県ではそれほど多くなく絶滅が心配される植物になっています。兵庫県には多くて、絶滅が心配されるような状況ではありません。但馬海岸には多く、豊岡市から新温泉町にかけて海岸道路を走るといたるところに群落が見られます。岩場だけでなく吹き付けられたコンクリートの割れ目にもしばしば見られます。但馬はこのキクの生育に好適な場所なのでしょう。 ![]() ワカサハマギクは、リュウノウギクの変種だとされています。リュウノウギクは染色体数が2n=18で、ワカサハマギクは染色体数が2n=36で、染色体数が2倍になっています。ワカサハマギクは4倍体といわれるものにあたり、2倍体であるリュウノウギクよりも大きくなります。 例えば、頭花の直径は リュウノウギク 3.5〜4cm ワカサハマギク 4 〜5cm となります。ワカサハマギクは、全体がリュウノウギクよりも大きく、花がたくさんつきます。 ![]() ワカサハマギクなどの野菊には、遺伝子汚染という危機が迫っていると言われています。 人が栽培している菊(イエギクといいます)の花粉を受けて雑種ができてしまい、純粋な野菊ではなくなってしまうというのです。 ![]() ところで、先にあげた「兵庫県維管束植物8」には、リュウノウギクの但馬の産地が載っていません。リュウノウギクが但馬に生育しないわけではありません。誰もまだ標本にして博物館などに収めていないのです。 ![]() 11月に入ると、六方田んぼでは百合地地区を皮切りに、田んぼの冬季湛水がはじまりました。待ち構えていたように、たくさんのカモたちが水田に入ってきて羽を休めています。 ![]() 六方田んぼの冬を代表する鳥タゲリも、この頃になると群れで見かけるようになります。 ![]() いまや冬の六方田んぼの風物詩にもなろうとしているコハクチョウも、渡りの途中に立ち寄ります。途中休憩のコハクチョウは数日のうちに飛び去りますが、今年も六方田んぼで冬を越すグループが定着することでしょう。 ![]() 旅のマガンも降りてきてしばしの休息をとります。コハクチョウの越冬にあわせて、今後はマガンの越冬も見られるようになることでしょう。 冬季湛水田の面積が増えてゆけばゆくほど、冬鳥たちが豊岡盆地で安心して暮らせる環境が整ってゆきます。 写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信
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