たじまのしぜんブログ

フジミドリシジミ

カテゴリ : 
たじまのしぜん » どうぶつ
執筆 : 
コウノトリ市民研究所 2010-7-30 17:30

但馬には素晴らしいチョウチョが住んでいます。
その代表格が愛好家がゼフィルスと呼ぶミドリシジミの仲間です。
これ等の蝶が出現する6月中旬から7月中旬には、全国から蝶の愛好家がたくさん来られます。
いいポイントは前日から場所取りをしないといけません。
第一回はフジミドリシジミを紹介します。
ミドリシジミ類の中では早く出現します。

フジミドリシジミ♂

このように、表はメタリックな青みがかった緑色に輝き、非常に綺麗です。
この蝶は、高い所を高速で飛びまわるので採集が難しく、撮影のチャンスもなかなかありません。


翅を閉じている時はこんな感じです。


早朝は、地面に降りることもあります。

フジミドリシジミ♀

メスは表が褐色で、綺麗ではありません。


裏はこんな感じです。
オスに比べ、個体数が少ないので、愛好家に狙われます。

コウノトリ市民研究所:友田達也

ワタムシ

カテゴリ : 
たじまのしぜん » どうぶつ
執筆 : 
稲葉一明 2010-7-24 11:10
ワタムシの一種 (カメムシ目・腹吻亜目・アブラムシ科)
綿虫
庭で葉っぱの裏を見てみると、白いワタのようなものが沢山くっついていた。隠れるように反対側に移動するものがいる。少し動いて飛び立つものもいる。それが綿ぼこりのように漂っている。





 この生物は何なのかと気になっていた。調べてみると、どうもワタムシという昆虫の仲間らしい。リンゴなど果樹の害虫としてもその関係の人たちには有名な生き物。アブラムシ「アリマキ」の仲間であった。





アブラムシは、羽のない状態で沢山増殖してコロニーを作る。アブラムシの仲間に、ワタのような蝋物質を分泌して、それを身にまとって生活しているものがある。これがワタムシの正体である。アブラムシの飛ぶ力は弱いので、綿のような蝋物質を身につけているので飛びにくくて空気の流れに身を任せ、綿ぼこりのように漂う。北海道ではユキムシと呼ばれ、これが見られると間もなく初雪が降るということで親しまれているそうです。


たしかに、沢山くっ付いている様子はアブラムシの仲間であることを連想させるし、実際にテントウムシの幼虫に捕食されてもいる。白い綿状のものが美しく不快感はあまりないが、逆光で見ると綿が透けて虫の胴体や排泄物が分かり美しくない。











アップで観察すると、小さな羽根が見られ、綿の中にアブラムシがいることが分かる。種によってはリンゴなどの果樹に被害を出すが、庭木に付くものは大した被害は出ないようである。
種類を特定する自信はないが、庭に勝手に新しく生えてきたエノキについていたことや、インターネットのサイトで見る限りよく似ている事からエノキワタアブラムシ(Shivaphis celti Das)ではないかと思う。



サクラの妖精

カテゴリ : 
たじまのしぜん » どうぶつ
執筆 : 
上田尚志 2010-7-16 19:55
ウメエダシャク


6月から7月の夕暮れ、サクラの木の周りを頼りなげに飛ぶ、たくさんの白い妖精。スマートに飛ぶのではなく、ゆっくりと、翅を小刻みに震わせるように、空間をぎこちなく飛ぶ不思議な物体。しかも、一つや二つではない。次々と現れては消えていく。正体を確かめたくて静止する個体を捜した。ウメエダシャクという蛾で幼虫がウメやサクラを食べるようだ。豊岡市内ではこの季節にサクラの木の周りでよく見かける。


飛び回ってなかなか静止しないが、どこかへ消えてしまうように、見つからなくなってしまう。そしていつの間にか、どこからともなく現れる不思議な蛾だ。

ユキワリイチゲ

カテゴリ : 
たじまのしぜん » しょくぶつ
執筆 : 
菅村定昌 2010-7-7 21:19



 ユキワリイチゲは近畿地方が分布の北限で、南には九州まで分布します。但馬産の他のアネモネ属が北方系の植物ならこのユキワリイチゲは南方系の植物だということになります。分布の端に近いせいか近畿地方には多くないようです。兵庫県以外の府県では絶滅を心配されている植物です。兵庫県には各地に結構あるようです。

 でも、但馬では、生育する場所が極めて限られているようです。絶滅危惧種に指定されているアズマイチゲに比べても生育地は決して多くないと思います。但馬版のレッドデータブックを作れば必ず載せないといけない種類だと思います。



 ユキワリイチゲという名前から雪解け頃に咲く花のように思えます。それで生育地に何度も足を運びましたが、花に出会えたのは3月末から4月の頭です。(この写真は3月31日)最近は暖冬なので雪が残っているはずありませんが、豊岡では少しずれているようです。



 私の知っている生育地は、葉は結構ありますが、花が着くことは稀です。離ればなれに一輪、一輪と咲いていて、写り映えがしません。おそらく暗すぎて花を咲かせる元気がないのです。ユキワリイチゲは秋に葉を広げて、葉を落とした木々の下で光を浴びて栄養分を蓄えます。ですから落葉樹の下や林の端に生育します。常緑樹の下だと光が地面に届かないので生育できません。私の観察している場所は落葉樹林ですが、竹が年々増えてきています。竹は常緑ですから年々、下に届く光が少なくなってきているのです。

 南但には見事な群落があって、「但馬の草花マップ」で紹介されました。この場所は、地元の方に世話をされています。

 但馬に自生するアネモネ属はこれでお終いです。
 これらの他に、シュウメイギクが野生状態になっています。

カッコウの仲間

カテゴリ : 
たじまのしぜん » どうぶつ
執筆 : 
コウノトリ市民研究所 2010-6-27 20:00
但馬の山には、カッコウ、ツツドリ、ホトトギス、ジュウイチの4種類のカッコウの仲間が暮らしています。どれも春になったら南から戻ってきて、但馬で繁殖する夏鳥です。子育てが終わって夏が過ぎると、また南へ移動してゆきます。

いま、森は鳥たちの子育ての季節をむかえ、にぎやかだった鳥の声も次第に聞こえなくなってゆくころです。そんななかで、カッコウの仲間は今も山で出会うことの多い鳥です。


これがカッコウです。体長はハトぐらいありますが、スリムな体をしています。枝の先にとまって「カッコウ」と鳴いていれば、間違いなくカッコウとわかります。


さて、この写真も上のカッコウと同じに見えます。カッコウ?
残念でした。これはツツドリです。カッコウとツツドリの見分けはたいへん難しく、鳴かないと、まずわかりません。

ツツドリは「ポンポンポン」と筒を叩くように鳴くのでツツドリと名前が付きました。同じに見えても「カッコウ」と鳴けばカッコウ、「ポンポンポン」と鳴けばツツドリです。


これはホトトギスです。この鳥もカッコウ・ツツドリと同じ模様をしているので紛らわしいです。しかし、他のカッコウ類に比べて明らかに体が小さいので、なれると姿だけで分かるようになります。おなかの黒いストライプ模様も、カッコウ・ツツドリに比べて間隔が大きいことも特徴です。

ホトトギスは民家の近くでも比較的よく見られるカッコウの仲間で、「特許許可局」と鳴くことで有名です。我が家のまわりでも、毎日「特許許可局」の声が聞こえます。「てっぺん・かけたか」という聞きなしもあります。

さて、最後に残った1羽がジュウイチです。私はまだジュウイチの写真を撮ったことがありません。珍しい鳥ではないのですが、声だけはよく聞くわりに、姿を見ることが難しい鳥です。

ジュウイチは深い山の中にいます。他のカッコウが灰色の体をしているのに対し、ジュウイチは赤茶色をしています。見れば識別しやすいですが、見ることができません。鳴き声は、名前の通りです。数字の11です。ジュウイチ・ジュウイチと繰り返し鳴きますが、だんだんリズムが早くなって最後には切羽詰った感じになります。

山歩きをする人は、これからもカッコウの仲間の声を山で耳にすることがきっとあります。姿は見えなくても、「カッコウ」「ポンポンポン」「特許許可局」「11」の4つの声を聞き分けて、彼らの姿を思い浮かべるのも楽しいですね。

写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信

アリグモ

カテゴリ : 
たじまのしぜん » どうぶつ
執筆 : 
稲葉一明 2010-6-20 14:41
アリグモ (クモ目ハエトリグモ科Myrmarachne japonica)
蟻蜘蛛

 アリにそっくり。姿かたちも動き方もそっくり。ちょうどクロヤマアリという種に似ている。歩き回っているときはほとんど区別が付かない、というかアリに見える。
よく見ると足が4対ある。あごが大きい。昆虫は足が3対でクモ類は4対である。一番前の一対は顔の上に持ち上げて、アリの触覚のように見せる行動をとる。他の生き物に似せる形態や行動を擬態という。



 このアリグモについては、アリにそっくりになることで、どのようなメリットがあるのかよく分かっていないらしい。アリに自然に近づいてアリを捕食するためという説があったが、アリを捕食することは基本的にないということがわかり、アリに似せて身を守るということも効果があるのか疑問。
写真は我が家の庭でシャクヤクの葉っぱにいたもの。普通のアリもたくさん歩いている。アリグモは良く見かけるので、但馬では普通にいるのではないかと思う。顔を見るとアリでないことがよく分かる。すごい顔をしている。

アリグモに限らず、この擬態というやつ、どうすればこんなにそっくりに進化するのだろうか。葉っぱや枯れ枝とか周囲の環境に似せたやつ、他の強い生き物や毒のある生き物に似せたやつ。特別な意志に基づかず、単に偶然の積み重ねと淘汰の繰り返しで起こりえることとは、私などにはどうも納得しがたい。

アズマイチゲ

カテゴリ : 
たじまのしぜん » しょくぶつ
執筆 : 
菅村定昌 2010-6-16 22:38


 但馬に生育するアネモネ属の中でアズマイチゲだけが絶滅危惧種に指定されています。近畿版のレッドデータブック(2001年版)で準絶滅腫に指定され、兵庫県(2010年)ではBランクに指定されています。改訂されたばかりの兵庫県版レッドデータブック植物編では改訂前と同じBランクなので新たな生育地がほとんど見つかっていないのでしょう。




 但馬では確かにめったに出会う植物ではありません。しかし、実際には思いの外、各地にあるのではとも思います。というのもキクザキイチゲによく似ていて遠景では区別できないからです。キクザキイチゲだと思いこんでいて見つかっていないものが少なくないと思うのです。

 私の最初に見つけた場所はまさにそんな感じでした。キクザキイチゲがたくさんあって、その中にわずかにアズマイチゲが混じっていました。そのアズマイチゲを最初に見つけたのは全くの偶然でした。たまたま腰を下ろした場所で目の前のキクザキイチゲを見ると、葉が丸いので驚きました。キクザキイチゲではなくアズマイチゲだったのです。



 次の年には同じ山の別の谷ではあるものの標高や環境が似た場所でアズマイチゲを探しました。思い通りアズマイチゲがありました。

 アズマイチゲは但馬の各地にあるようです。
 ある栗林には見事な群落もあるのだそうです。栗林は人間が草刈りなどをして管理していますので、アズマイチゲのように早春に咲いてすぐに枯れてしまう植物には好適な場所のようです。





 アズマイチゲは暗いときは花が開きません。雨の日は当然咲きませんし、曇っていてもきれいに咲きません。
 ある年、写真を撮ろうと出かけました。朝早くは花が開いていないことは分かっていたので10時くらいに着くようにしました。それでもまだ閉じていました。仕方がないので、別の植物を観察しに2時間ほど山の中に入って戻ってきました。なんとか開いていました。


  アズマイチゲの葉 葉は3小葉に分かれ、先が丸い


  キクザキイチゲの葉 葉が羽状に分裂し、先がとがっている

 アズマという名前の通りに東日本に多いようです。本州中部以北の落葉樹林下には多く生育することから、但馬に生育するものは、氷河期の寒冷な時代から生き残っている冷温帯遺存種と考えられます。アズマイチゲの生育するところは自然度の高い落葉樹林なのだと思われます。

豊岡盆地、春のシギ・チドリ

カテゴリ : 
たじまのしぜん » どうぶつ
執筆 : 
コウノトリ市民研究所 2010-6-6 20:00

セイタカシギは春の渡り鳥の中で、もっとも華のある鳥のひとつです。鮮やかな赤で長く伸びた足が最大の魅力です。

春のセイタカシギの飛来は、ここ数年で増え続けています。10年ほど前には珍鳥と呼ばれていた鳥ですが、今ではすっかりおなじみの鳥になってきました。今年の春は特に観察例が多く、最大で9羽の群れを見ました。


オグロシギです。飛来数は少なく、春は赤い姿が美しい中型のシギです。この個体は、伊豆地区の湛水田で数日過ごしました。

警戒心が弱く、じっとしているとどんどん近くに寄ってきました。長く太いくちばしを泥の中に突っ込んでは、水中の虫を捕まえていました。


とても珍しいシギと出会いました。コシャクシギです。国の絶滅危惧種に指定される希少種です。くちばしがしゃくれたシギには、ほかにホウロクシギ、ダイシャクシギ、チュウシャクシギがいますが、コシャクシギはこのグループの中で一番小型です。

豊岡盆地ではチュウシャクシギ、ホウロクシギの飛来は時々ありますが、コシャクシギはおそらく初めての観察となるでしょう。兵庫県でも珍しい記録になると思います。


コシャクシギと同じエリアで、こんどはツバメチドリを見つけました。これまた絶滅危惧種です。豊岡盆地での観察も長らく途絶えていましたので、珍しい鳥の久しぶりの飛来となりました。

ツバメチドリはほかのチドリとは違った習性を持っています。くちばしは横に大きく裂けています。細長い翼で高速に旋回する様子もツバメのようです。高速飛行を安定化するために、尾羽の構造もツバメと同じような、いわゆる燕尾(えんび)型をしています。

地上でも虫を捕まえますが、ツバメがやるのと同じように、ツバメチドリは飛びながら大口をあけて、空中の虫を網ですくうようにして食べるのです。まるでツバメのようなチドリがいるなんて、おもしろいですね。

この春は次々に、珍しいシギ・チドリが豊岡盆地にやってきました。コウノトリ育む農法がめざす生物多様性の証の一つになります。

写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信

アカテガニ

カテゴリ : 
たじまのしぜん » どうぶつ
執筆 : 
稲葉一明 2010-5-31 23:50

アカテガニ (十脚目 イワガニ科Chiromantes haematocheir)
赤手蟹




円山川の下流域の石積み、土手、川に近い山の中などにいる。石の隙間や土の穴に住んでおり、水辺からかなり離れた所まで入り込んで生活している。よく似た仲間にクロベンケイガニもいるが、より水に依存しておらず、アスファルト道路でたむろしていたり、庭を歩いていたり、思わぬところで見かけることがある。雑食性で、稲の葉っぱを食べたり、川沿いの田んぼを徘徊して土手に穴を開けている。



 名のとおり手が赤いのであるが、体色はバリエーションに富んでいて、全体的に赤いもの、黒っぽいもの、黄色い部分が目立つものなどさまざまである。
 主に淡水域で生活しているが、淡水に完全対応しているわけではなく、ずっと水につけておくと溺れるらしい。



真夏の満月や新月の大潮の時に、河口部に移動しいっせいに産卵するとのことであるが、私は残念ながらまだ見たことがない。幼生時には海水が必要で、そのため河川の下流域でしか生活していない。塩分のある河口域で過ごした幼生は、やがて川を上っていく。回遊しているのだ。カニ類で完全に淡水域に進出しているかにはサワガニしかいない。
 アカテガニは比較的簡単に飼育できる。


キクザキイチゲ

カテゴリ : 
たじまのしぜん » しょくぶつ
執筆 : 
菅村定昌 2010-5-23 13:43


 但馬ではこの植物を見ると山の中に入ってきたなと思います。

 他の植物がまだ生育しない頃に花を咲かせるのでよく目立ちます。他の植物たちが大きくなった頃には姿を消してしまいます。



 但馬ではイチリンソウに比べて生育している範囲が狭く、多くの場合、ブナ林やブナ林を伐った後にできるミズナラやコナラの林の中に生えています。山地にある落葉広葉樹林を特徴づける植物の一つのようです。



 雪解け水がしたたるような場所の下の広いところや、渓流の両端に広がる平らな場所や窪地によく見られます。

 例外的に、円山川の河畔林内に知られていました。きっと河畔林の環境が山地の落葉広葉樹林と似ているのでしょう。河畔林のキクザキイチゲは、残念なことに近年姿を見かけません。



 花びらのように見えるのは全て萼(がく)です。8枚くらいから13枚くらいまであります。純白に近いものもありますが、ピンクを帯びるものや青を帯びるものもあります。



 お隣の京都府と鳥取県では準絶滅危惧種となっています。幸いなことに但馬には各地に結構あります。落葉広葉樹の伐採などに気をつけていつまでも咲き続けてほしいものです。