ササユリ

執筆 菅村定昌   掲載 2017年06月24日 22時27分   カテゴリ たじまのしぜん » しょくぶつ

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ササユリ ユリ科



 ササユリの学名は、Lilium japonicum Houtt です。japonicum とある通り日本固有種、日本にしかないユリです。ササユリは、本州の中部以南と四国、九州に生育します。丘陵地や山間の林縁もしくは疎林の林床に生育します。ササユリという名前は、葉がササに似ているからというのが納得ですが、ササやぶの中で咲くからという説もあります。


ササの中のササユリ

 かつては普通に見られたユリでした。関西で野生のユリといえばこのササユリを指しました。私が自然観観察を始めた40年ほど前には、山に近づけばあちらこちらに見られ、たくさん咲いている場所もありました。最近では、一株二株がちらほらと咲いているのを見ると珍しいものを見つけた気分になります。




 ササユリは、春先によく日光があたり、その後も木漏れ日の差す明るい木陰を好みます。それは、人が手入れをしていた里山の山裾であったり、山の中であったりします。里山が利用されなくなって、競合する植物が増えました。日当たりが悪くなりササユリは生育場所を大きく狭めました。ササなどがびっしりと生えると種子が発芽することもできません。次世代が育つことができないのです。



 また、かつては大量にあったので人が少々取っても影響はさほどありませんでした。その感覚で少なくなったササユリを取ると激減します。そこに獣害です。シカは地上部を食べます。球根が残るので多くは生き残るのでしょうが、数年続くと深刻なダメージが残ると思います。イノシシは、実に上手に球根だけを掘り取って食べます。


この大きさのものは地面に張り付いておりシカの食害から逃れていることがある。大きく育ったものがダメージを受けてこんな状態になるものもある。

 暗い話が続きましたが、明るい話もあります。
 豊岡市が設置されたノアの方舟の2か所でササユリが開花しました。うれしことに一株二株ではありません。小さな株も見られたので増えていくことは間違いありません。今後が楽しみです。


柵の中で開花を待つ株


これらは来年には咲くかもしれない。そんな株がいくつもあった。

 開花した柵の周辺は豊岡市でもシカにより食害が著しい場所でした。柵内は数年で大きく改善しました。ササユリは、種子から始まると開花まで10年近くかかります。球根が残っていると再生が早いです。球根や地下茎がまだかろうじて残っている今、多くの場所を植生保護柵で囲っていけたらと思います。



ピンクのものもある。

ヤマドリ

執筆 コウノトリ市民研究所   掲載 2017年06月13日 13時12分   カテゴリ たじまのしぜん » どうぶつ

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早朝に林道を走ると、ヤマドリと出会うことがあります。普段は林床の藪の中に潜んでいますが、朝は開けた場所に出て来て活発に動いています。

キジ科の鳥ですが、平地で暮らすキジと違って、オスの羽根色は赤銅色をしています。尾羽もキジより長く、林道で何度出会ってもその美しい姿に惹かれます。


こちらの写真はヤマドリのメスです。オスに比べて尾羽が短く、全体的に羽色は地味で目立ちません。木の根元の地面に簡素な巣を作り、産卵後は引き続きメスだけが卵を温めます。メスが地味な茶色の羽根を持つのは、地面で抱卵しているのを巧みにカムフラージュするためです。


前回ヤマドリと出会ったエリアを再訪すると、切り株の上でオスが存在感をアピールしていました。赤い色は遠くから肉眼でもよく見え、長い尾を引くその堂々とした姿は、太古の恐竜を思い起こさせました。

ヤマドリは日本の固有種です。日本の国鳥であるキジよりも、日本に似合う野鳥のように思います。山に生息するクマタカなどの猛禽類に捕食される運命も背負っています。

写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信

アイタケ

執筆 稲葉一明   掲載 2017年06月03日 09時12分   カテゴリ たじまのしぜん » きのこ

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アイタケ   ベニタケ科 ベニタケ属
 藍茸  (Russula virescens)

このアイタケは、和名の由来は藍色から来ているようであるが、薄い藍染であればイメージできるかもしれない。少し青みがかった緑〜草色のキノコ。

傘は10cmを超えるやや大型のキノコである。傘の表面はひび割れたようになって、モザイク模様、かすり模様になる。成熟すると傘は中央部がへこみ、ロート状になる場合もある。



また、縁部が裂けることも多い。ヒダはやや密で白色、柄も白色で充実。ベニタケ科の共通で全体にもろい。緑色のキノコはあまり見かけない。成熟すれば外見の特徴から判別は容易である。



味、臭いともに温和で、ベニタケ科らしく歯ごたえは悪くぼそぼそ感があるが、まずまずの食菌といえると思う。夏のキノコなので多くの場合虫が入っており、持ち帰って食べようかと思うようなものに出会うことは少ない。



初夏から秋に広葉樹林の地上部に単生から群生する。珍しいものではない。

サワガニ

執筆 コウノトリ市民研究所   掲載 2017年05月31日 12時30分   カテゴリ たじまのしぜん » どうぶつ

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サワガニ   十脚目 サワガニ科

 サワガニは山地の渓流など、水が冷たくてきれいなところに住んでいる淡水性のカニです。山地の多い但馬では目にした方も多いでしょう。
 但馬の川などの淡水域には、海から近い下流域ではアカテガニやクロベンケイガニといったカニが住んでいますし、下流域から中流域にもモクズガニというハサミに毛の生えたカニが住んでいます。同じ淡水性でも、サワガニはそれらのカニとは大きな違いがあります。
前者のカニは川に住んでいますが、繁殖期には海へ下り、親ガニはとても小さな幼生を海へ放します。幼生はしばらくの間、海でプランクトンのように漂って生活を送ります。それに対してサワガニは海へ下ることなく、一生を淡水で過ごします。卵からふ化した時にはカニの姿をしています。



 普段は水辺に住んでいますが、雨の日には水から離れて森林内を歩いていることがあります。この写真のように、山道で見かけることもあります。


 地面に生えている草を食べています。雑食性で、昆虫やミミズ、藻類など色んなものを食べます。


 ハサミを上げて威嚇しました。サワガニはハサミで雌雄を見分けることができます。オスのハサミは左右のどちらかが大きいのですが、メスは左右同じ大きさです。




 水中での写真です。昼間は石の下に隠れていることがほとんどで、この写真も石をひっくり返して見つけた個体です。
 近年、サワガニは生息数が各地で減少傾向にあります。但馬においても以前と比べて見ることが少なくなったと感じます。

写真・文 コウノトリ市民研究所 北垣和也

オオキンケイギクが目立ってきました

執筆 菅村定昌   掲載 2017年05月23日 23時26分   カテゴリ たじまのしぜん » しょくぶつ

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オオキンケイギク



 オオキンケイギクが一斉に咲き始めました。
 2年前に、美しい花ですが日本在来の生きものたちに.悪い影響を与えるので駆除することが望ましいとお知らせしました。
 相変わらずたくさん咲いていますが、うれしい変化も起きています。



 但馬コネクションという集まりで外来生物の脅威をお話ししました。すると、何かしたいというお話しが来ました。
 そこで、この場所でオオキンケイギクを抜き取ることにしました。
 なんと18名もの人が集まりました。



 調べていただくと豊岡市の土地であることが分かりました。植村直己冒険館さんに調整していただいてここで作業ができることになりました。
 幸いなことに花はほとんど咲いていません。種子ができる心配がないので、抜いたものをその場に置いておくだけで大丈夫です。よい天気が続いて枯死しました。
 1時間でこれだけ取れました。3年ほど続けると在来種が優占すると思います。頑張ろうと思います。



 ここは、2年前までは、オオキンケイギクだけが刈り残されていました。今年は刈ってありました。
 神鍋山でオオキンケイギクを抜き取られたグループが新聞で紹介されたこともありました。新温泉町には、100m以上にわたって生育していた場所がありましたが、土木事務所さんがきれいに刈り取られました。国土交通省さんも刈り取ったものを種子がこぼれ落ちないように運ばれるようになりました。みんなで頑張りましょう。



 花が咲きそろうと駆除は面倒です。次のことを守って下さい。

 駆除は上流から(標高の高いところから)
 花は切って(はさみを使いましょう)袋に入れて持ち帰り、燃えるゴミに出します。
 花のついていない茎は抜きます。
 (放置してもよい場所ならそのまま。そうでない場所ならポリ袋に入れて持ち帰ります。袋を閉じて腐らせるか、燃えるゴミに出します。)

 花が咲く前に抜き取るのが一番です。花の時期に葉をよく見て覚えてほしいと思います。

コマドリ

執筆 コウノトリ市民研究所   掲載 2017年05月17日 13時11分   カテゴリ たじまのしぜん » どうぶつ

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コマドリはヒタキ科の夏鳥で、但馬の山地でも繁殖をしています。コマドリの観察適期は渡りの移動時期。毎年、豊岡市内の山麓の沢沿いが、私たち仲間の観察ポイントです。多くのコマドリは1週間ほどで通過を終えてしまいますが、一部はその周辺で繁殖しているようです。


橙色の頭部が美しく、クリッとした黒い目が愛らしいです。コマドリは漢字で「駒鳥」と書きます。鳴き声が馬のいななきのように「ヒン・カラララ」と聞きなされることに由来します。


地表を徘徊しながら虫を捕って食べます。朝の気温が上がる時間帯になると、沢に下りて来て湧き出る羽虫をしきりに捕まえます。

地表に餌となる虫が豊富であることが、コマドリ生息にとって大切な要件ですが、増えすぎた野生鹿が里山の林床を丸裸にしてしまうため、産卵場所や食草を失った虫たちが激減しています。コマドリをはじめ、但馬の森で子育てを続けてきた夏鳥たちにとって、暮らしづらい場所になってしまったのが残念です。

カワタケの一種

執筆 稲葉一明   掲載 2017年05月03日 11時51分   カテゴリ たじまのしぜん » きのこ

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カワタケの一種   ヒダナシタケ目 コウヤクタケ科
 皮茸         (Peniophora sp.)




枯木に膏薬状に広がっているものをときどき見かける。コウヤクタケと呼ばれるキノコの仲間である。




この写真はカワタケ(Peniophora quercina)ではないかと思うが、外見だけで種の同定はなかなか困難である。同一種でも様々な形状と色彩を表す。コウヤクタケの仲間であることは間違いない。









広葉樹枯木に膏薬状に樹皮に張り付くように広がっている。最初は小さな円状から発生し、やがて合体して大きな膏薬状になっていくようだ。




端は少しめくれ上がる場合がある。背着生〜半背着生のキノコ。縁部は白く、中心部は淡い肉色〜肌色。カワタケは世界的に分布しているとのこと。形状から不食。木材を腐朽させるが、人間との関りはほとんどないと言って良かろう。
 

アカギツネ(ホンドギツネ)

執筆 コウノトリ市民研究所   掲載 2017年04月30日 07時12分   カテゴリ たじまのしぜん » どうぶつ

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アカギツネ   食肉目 イヌ科

 野生のキツネに出会ったことがあるでしょうか。夕方、山沿いの畑などを散歩していると、姿を見ることができるかもしれません。日本列島に生息しているキツネはアカギツネと呼ばれる種類です。ユーラシア大陸や北アメリカ大陸など北半球に広く生息しています。そのうち、日本列島の本州から南に生息するものは亜種ホンドギツネ、北海道に生息するものは亜種キタキツネと区別されることがあります。


 森林環境と農地が入り混じっている所が好きなようでして、見るとすれば山沿いの農地が多いです。また、豊岡周辺などでは、円山川の河川敷でも時々姿を見ます。警戒心が強い動物でして、人間が近づくとすぐに逃げてしまいます。これらの写真を撮る時も、100メートルほど離れてじっとして撮りました。




 時々、周辺の様子を伺いながら行動しています。肉食が中心でして、野ネズミや野ウサギ、カエル、昆虫などを食べます。また、カキなどの果実も食べます。ここは田んぼと湿地が多い場所でしたので、カエルでも探していたのかもしれません。




 何か獲物をとらえたようです。咀嚼していました。お腹の部分をよく見ると、乳房が大きくなっているのがわかります。おそらく子育て中の母ギツネなのでしょう。ちょうど今、子育ての季節です。子が大きくなってくると、親子で行動するようになります。もし親子ギツネの姿をカメラに収めることができれば、またこの場で紹介しようと思います。

写真・文 コウノトリ市民研究所 北垣和也

ノジスミレ 今年はたくさん出会いました

執筆 菅村定昌   掲載 2017年04月23日 21時58分   カテゴリ たじまのしぜん » しょくぶつ

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ノジスミレ スミレ科



 畑がたくさん広がっている場所で畑と畑をつなぐ細い道、そんなところでよくノジスミレを見ました。車を止めて、畑に近づいていくと細い道沿いに必ずといってよいほどノジスミレに出会えました。それが、いつの頃からか、ノジスミレに出会わなくなりました。不思議だなあと思いました。そんな頃『京都府レッドデータブック2002』でノジスミレが準絶滅危惧種になっていることを知りました。「京都はそんななの?」と驚くと共に、「豊岡近辺も少なくなったよなあ。」と思いました。




 さて、このノジスミレ『京都府レッドデータブック2015』では、めでたいことに絶滅危惧種ではなくなりました。これが、増えたのか、調査不足だったのがたくさん発見されたのかは、分かりません。




 但馬においてもここ数年でよく見るようになったのは私の実感です。特に今年は至るところで見ました。
 例えば、コウノトリ市民研究所の4月の田んぼの学校「タンポポなど春の草」でたくさん見ました。十年以上に渡って毎年同じコースで実施しているのですが、ノジスミレを見たのは今年が初めてです。一番身近にあったんだと拍子抜けしました。




 田んぼの学校で、どうしてこれまで見つからなかったのか? それは、時期が関係しているのだと思います。例年、スミレは見つかっていましたが、ノジスミレは見つかっていません。今年は逆でした。ノジスミレはスミレより早く咲きます。他のスミレたちが結構長くだらだらと咲き続ける中でノジスミレは短期集中で咲き終わるようです。しかも、周りの草が一気に大きくなってノジスミレを隠してしまいます。今年は大雪で春が遅かったので例年ならスミレの時期なのにノジスミレが咲いていたのだと思います。毎年、花の終わったノジスミレは草に埋もれて目立たなくなって私や子どもたちに気づかれずに来た。と、まあ、こんなことを考えています。



 ノジスミレは、スミレとよく似た茎のないスミレです。スミレとの違いは、葉や花の柄に白い短い毛が多いことです。スミレは無毛です。ノジスミレは花を正面から見ると花の中に毛が生えていませんが、スミレは中央付近の左右に毛が生えています。花の形も少し違っていてスミレが整った形をしているのに対して、失礼な表現ですが「だらしない感じがする」などと図鑑に書かれていたりします。

 コウノトリの郷公園の近くの農地や駐車場には、茎のないスミレとしては他に小型のヒメスミレと白い花を咲かせるアリアケスミレが生えています。山に入るとシハイスミレが生えています。

オカヨシガモ

執筆 コウノトリ市民研究所   掲載 2017年04月12日 14時20分   カテゴリ たじまのしぜん » どうぶつ

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但馬で冬を過ごしたカモの多くは、すでにシベリアや北極圏の繁殖地へと帰って行きました。まだ残っているものも、これから北を目指し旅立つでしょう。カモが少なくなった水辺では、これまで多くのカモの中に紛れて目立つことのなかった種に観察の目が向きます。今回紹介するオカヨシガモも、そのひとつです。

カモはオスの方が綺麗な羽根を持ち、メスは茶色の地味な色をしているものがほとんどです。上の写真はオカヨシガモのペアで、手前がオスで奥がメスです。どうでしょう、ずいぶん地味なオスですね。オカヨシガモの識別で一番よく目立つのが「お尻の黒」です。尾羽の付け根の上尾筒と下尾筒が黒いのです。


オスが伸び上がったシーンです。頭頂部と喉に淡く赤い色が混じります。胸はウロコ模様です。翼の翼鏡が白いのもオカヨシガモの特徴です。


汽水域の閉鎖湿地で、水中の植物を逆立ちして採食していました。逆立ちするとオレンジ色の脚がよく目立ちます。

オカヨシガモは派手なところはないですが、ベテランバーダーにはその渋い魅力が人気となっています。

写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信

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