8月のお盆を過ぎるころ水田や草原を群れて飛ぶトンボが目立つようになります。9月に入ると学校のグランドや空き地でも沢山のトンボが群れています。一見アカトンボのようですが、これはウスバキトンボです。
ウスバキトンボは亜熱帯、熱帯など暖かい地域を中心に分布しています。アジア、オセアニア、アフリカ、アメリカなど、世界で最も生息域が広いトンボです。日本ではほとんど越冬できず、春から少しずつ発生を繰り返しながら北上してきます。但馬では早いものが6月ごろ見られます。ここで産卵された卵は40日程度で成虫になり7月下旬ごろには第2世代、9月上旬ごろには第3世代と爆発的に増えていきます。他のトンボと比べて産卵数が多く、あっという間に増えてしまいます。産卵場所は水田や水たまり、プールなどです。
ウスバキトンボはアサギマダラのように、秋になると南に帰ることはありません。寒くなると成虫もヤゴも越冬できず死んでしまいます。なぜこのような「無駄」なことをするのか、それは世界で最も生息域が広いトンボの秘密かもしれません。
ウスバキトンボはアキアカネやシオカラトンボなどのように水平な場所に羽を開いて止まることはありません。ぶら下がるように止まります。
ウスバキトンボはアキアカネより少し大きく胸の模様が目立たず、全体に色が薄いことで簡単に区別できます。複眼が大きいのも特徴です。
ちなみに、水田で育つアキアカネは6月下旬から7月ごろ大量に羽化し、水田にとどまることなく山へ移動します。9月の下旬から10月ごろになると水田で姿が見られるようになります。