たじまのしぜん

トラツグミ

雪の後は鵺(ヌエ)が出る

その昔、鵺(ヌエ)と呼ばれ気持ち悪がられてきた、夜の森に棲む生き物の正体。それがツグミ科の鳥トラツグミです。ヒヨドリくらいの大きさ。ふだんは里山から奥山の広い範囲の、主に広葉樹林の中で暮らしています。ミミズをはじめ、森の土中から虫を掘り出して餌にしています。夜行性のため私達がトラツグミの姿を目にする機会は少なく、夜や、薄暗い日中に「ヒーン ヒーン」とか細く消え入るように鳴く声を耳にすることで、その存在を知ることができます。闇夜の中からこの声が聞こえると、正体を知らない昔の人は、何か恐ろしい魔物が夜の森に息づいていると身構えたのです。

さて、大雪の後、森の中で餌場を失ったトラツグミは、人里近くの雪の積もっていない場所を求めて姿を現します。上の写真は里山の林縁に出てきたトラツグミを捉えていますが、うっかりするとその存在に気づかないかもしれません。雪景色の地面に、見事なくらい一体化してその姿をくらましてしまうのです。

トラツグミの名前は、見ての通りの虎柄に由来します。上面は黄土色と黒の斑点、下面は白に黒のウロコ模様。この模様は、いわゆる迷彩柄となって、地面の上にいるトラツグミを完璧にカムフラージュしてしまいます。ヒヨドリ大で、ツグミ科の中では大きな鳥。猛禽類にとっては美味しい獲物になるサイズですが、この見事なカムフラージュのおかげで、天敵の目をくらますことができます。

正面から見たトラツグミ。同心円状の模様を見ていると、めまいがしそうです。トラツグミの餌の取り方は独特です。同じように、雪が降ると林縁に出てくるツグミ科のシロハラは、地面に積もった落ち葉を片っ端からひっくり返して、その下に潜んでいる虫を捕まえます。シロハラの採餌が騒々しいのに対し、トラツグミの採餌は静かに行われます。その場で静止し、体を上下に揺さぶるのです。相撲の「しこ」踏みのような感じ。体の振動を地面に伝え、びっくりした虫が地表に出てきたところをくちばしでパクっと捕まえます。

舌が長く、ミミズなどの長いものを巻き上げるのに適しているようです。夜行性の鳥らしく、目が大きいのも特徴。雪の無い季節の森の奥では、トラツグミの「しこ」踏み合戦が、夜ごと繰り返されているのでしょう。そんな鵺(ヌエ)の姿を、雪の後に観察できるのは、この時期ならではの野鳥観察の楽しみの一つです。

今年は寅年。トラツグミという鳥がいることを知って頂けると幸いです。

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