早朝に林道を走ると、ヤマドリと出会うことがあります。普段は林床の藪の中に潜んでいますが、朝は開けた場所に出て来て活発に動いています。
キジ科の鳥ですが、平地で暮らすキジと違って、オスの羽根色は赤銅色をしています。尾羽もキジより長く、林道で何度出会ってもその美しい姿に惹かれます。
こちらの写真はヤマドリのメスです。オスに比べて尾羽が短く、全体的に羽色は地味で目立ちません。木の根元の地面に簡素な巣を作り、産卵後は引き続きメスだけが卵を温めます。メスが地味な茶色の羽根を持つのは、地面で抱卵しているのを巧みにカムフラージュするためです。
前回ヤマドリと出会ったエリアを再訪すると、切り株の上でオスが存在感をアピールしていました。赤い色は遠くから肉眼でもよく見え、長い尾を引くその堂々とした姿は、太古の恐竜を思い起こさせました。
ヤマドリは日本の固有種です。日本の国鳥であるキジよりも、日本に似合う野鳥のように思います。山に生息するクマタカなどの猛禽類に捕食される運命も背負っています。
写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信