10月の初め、円山川河川敷で1羽のチュウヒを見つけました。タカ目タカ科の鳥で、但馬では冬鳥として観察されます。飛来数はとても少なく、見られない年の方が多いように感じてきました。
神出鬼没のタカで、出たと思ったら次の瞬間にはこつ然と姿が消えたりします。V字飛翔と呼ばれる独特の飛び方で低空をパトロールします。飛んでいる様子はフラフラと不安定に見えます。地上の獲物を見つけると、ストンとまっすぐ落下して捕まえます。写真は、まさに落ちる寸前の様子です。
タカの仲間は、何気に見ているとすべてトビと思ってしまいます。チュウヒも、ぱっと見ではトビによく似ています。でも、飛んでいるのを下から見上げると、トビとは違う白いまだら模様が目に入ります。
顔の作りもトビとは違っていて、フクロウのような顔盤構造になっています。獲物の気配を音で聞き取るとるためです。
河川敷がチュウヒの主な餌場ですが、堤内の田んぼにも入ってきます。写真は、おそらくスズメと思われる小鳥を大豆畑で捕まえたところです。
円山川のチュウヒは、少なくとも2羽が飛来していることが確認されています。先に紹介した個体は頭部を中心にかなり白っぽさが目立ちますが、こちらの個体は全体的に茶色っぽいです。
チュウヒは羽根色に変化が大きいタカで、別種と思われるような場合もあります。現在観察中の2羽は、白っぽいのが幼鳥、茶色っぽいのが成鳥♂ではないかと考えています。このままここで越冬に入るのか、別の場所に移動するのか、兵庫県レッドリストAランクの希少種チュウヒの、今後の動向に注目したいと思います。
写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信