ちょっと大きめのアリが枝に沿って歩いています。でも、ちょっと雰囲気が違うことに気づけば、さらに目を近づけて正体を突き止めたくなります。
さて、前から見た顔はクモそのものです。前の2つの目が、メガネを掛けたように大きく目立つこのクモのグループはハエトリグモの仲間です。
アリに擬態したこのクモの名は、見たままの「アリグモ」です。8本あるクモの足の前足2本を振り上げて、アリの触角に見せかけています。胴体のくびれ方もアリそっくりです。
アリに化けることで本物のアリを安心させ、近寄ってくるアリを捕食するアリグモの作戦だったと思われてきましたが、どうやら、アリを忌避する天敵へのアピールのためだと、最近の研究では考えられているようです。
いずれにせよ、アリに化けることでこのクモは生き残る術を身に着けたわけで、生きものの進化の妙を思い知らされます。
写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信