駅でレンタサイクルを借りたり、列車に自転車を輪行して行くことのできる見どころ情報をお送りする「駅サプリ」。
(サプリは補足という意味です。「たじま途中下車の旅」を”個人的に”補足し、またお読みくださる皆さんの心の栄養補給の足しになれば幸いです。)
今回はJR山陰線「城崎温泉駅」です。
今年は開湯1301年で、新しい歴史を刻み始めた城崎温泉。その玄関口として1909年に開設されました。温泉街の見どころは十分に知られていますので、見逃しがちな場所、少し足を延ばしたところも含めてご案内します。(駅近辺の見どころは、「たじま途中下車の旅」~城崎温泉駅編~に詳しくのっています。先に見てね。なお写真の撮影日はまちまちです。)
駅前には、七つの外湯の一つ「さとの湯」があります。玄関横には足湯もあり、気軽に楽しめます。
その屋根の上の一番高いところにはコウノトリのオブジェが、今まさに飛び上がらんとしています。その下の大屋根の反りの上には、、、
うーむ。これは何でしょうかなあ。鳩に乗った老人と、その後ろには6体の怪獣らしきものが行列をしています。昭和世代の私には、「ゴジラ」に出てくるラドンやゴロサウルス、キングシーサーに見えます。御一行様が温泉に入りに来たわけでもありますまい。
ネットで調べるとですね、中国・紫禁城の屋根にも飾られている、鳳凰に乗った「騎鳳仙人」と神獣らしい。縁起ものなんでしょうねえ。
城崎温泉駅前には、飲泉場があります。観光協会HPによると、慢性の消化器病や便秘に効果があるみたい。ここ以外に一の湯前、温泉寺薬師堂前にもあります。
城崎温泉といえば、やっぱり石橋群と柳並木をご紹介せずにおれません。
これらの橋は、北但大震災後に建てられた復興建築群の一つです。大谿川の両サイドに側壁を設けたため、その高さ分だけ橋を弓なりにして、高さをかせいでいます。
一番大きな王橋は昭和39年に改修されています。高さ3m超の灯籠付き親柱など見ごたえがあります(参照:但馬近代化遺産ガイドブック)
城崎温泉を東西に走る湯の里通り、御所の湯の隣に位置する四所神社は「城崎温泉の守護神」とも呼ばれています。
708年、日生下権守(ひうけごんのかみ)が神託をうけ、四柱(四所)の明神を奉祀したことが「四所神社」のはじまりとされ、三間社流造の本殿と入母屋造平屋建の拝殿はともに、兵庫県の登録有形文化財建造物に指定されています。また、本殿裏から湧き出る「延命水」は名水としても有名です。(参照:城崎温泉観光協会HP)
しまった!延命水を飲み損ねました。
まんだら湯の奥に極楽禅寺があります。立派な山門をくぐると、よく手入れされたきれいな庭が広がっています。一見の価値ありです。
山門脇には一願成就の大弁財天と鳳観音がお祀りされています。観音様は何か担いでおられますね。よく見ると、、五円玉(?)の束をよっこらしょっと引っ提げておられます。
城崎温泉をどんどん奥に、国際アートセンターから更に500mほど奥に行った小川の対岸に、荒船浄水場があります。明治40年1月1日に給水が始まり、県下では神戸に次いで2番目に古い上水道施設です。ツタに覆われ、何気に見過ごしてしまいますが、歴史があるのですよ。(参照:但馬近代化遺産ガイドブック)
配水場から少し奥に行った右手側に「樹魂碑」があります。日露戦争後に先人の方々が植樹をはじめられ、そこから得られる収入が町財政や福祉の一助となりました。それを祈念し建立されたようです。樹に込めた思いと、思いを込めてきた方々への碑なんでしょうねえ。
樹魂碑から更に700mほど奥に行くと、二代目・志賀直哉ゆかりの桑の木があります。
ここで、葉っぱがヒラゝ、ヒラゝ、揺れるといいのですが、訪れた時はピクリともしません。(小説「城の崎にて」では揺れていたらしい)
歩けばまち中から結構な距離があり、他には何もないところですので、目的地にしないと訪れにくいところですが、「文学のまち」城崎を代表する名所だと思うのですが。
城崎大橋を右岸にわたり、楽々浦湾の方に歩いていくと、水辺の自然を守っていくことを目的とした「ラムサール条約」に登録される「ハチゴロウの戸島湿地」があります。本年4月に行われた調査では、兵庫県版レッドリストAランク(絶滅の危機に瀕している)の「ニホンイトヨ」の生息が確認されました。
イトヨは見えませんでしたが、観察小屋からカモが泳ぐのが見えました。双眼鏡をもってバードウォッチが良いのでは。
戸島湿地から楽々浦湾に出て、しばらく行くと、「日本昔ばなし」(♪坊や~、良い子だ、ねんねしな~)でも放送された、鼻かけ地蔵さまがおられます。
漁師の夢枕にお地蔵さんがあらわれ、湾の底から引き揚げてもらったお礼に、お地蔵さんの鼻からお米が出るんですね。欲に目がくらんだ漁師は、もっとお米が出るようにとのみで鼻の穴を広げようとしますが、鼻が欠けてしまい、二度とお米が出ることはありませんでした、、。
やっぱり欲をかいてはいけませんねえ。
城崎温泉駅周辺には、やっぱり温泉情緒がただよいます。
下駄を鳴らしてカロンコロン、暗い世情をかけ湯で流し、外湯巡れば明日への活力
あなたもいかがですか? 但馬はいつでも、旅人を迎えてくれます。
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