但馬の駅とその周辺の見どころを併せてご紹介します。
第6回はJR山陰線「養父駅」です。
「養父(やぶ)」の名は1300年以上前の飛鳥時代から使われている由緒正しき名前で、元々はススキや草木が生い茂る円山川の藪の景観を表した地名であると推測されています。(参照:養父市HP)
(参考のため、地図を頼りに地名を入れていますが、違っていたら御免なさい。)
開業は明治41年7月です。どうです、この駅舎。その開業当時のものです。
JRさんは、本当にもの持ちがいいというか、大事にしておられます。
これは建物の梁に付いている財産標です。
今が2020年で、明治41年は1908年ですから、112年前の建物ですよ。
島式のホームに行くために、駅舎から跨線橋を渡ります。
次の駅に向かって線路はつながり、延びていきます。
上りの次の駅は和田山駅、下りの次の駅は八鹿駅です。
ちょうど福知山行き普通電車が到着しました。
昔は鉱業会社の専用貨物ホームがあり明延鉱山の鉱石積み出しが行われ、
昭和40年代までは養父市場の牛市で買われた子牛が、数十両の貨車に積み込まれ送り出されたそうです。
(参照:但馬県民局発行「但馬近代化遺産ガイドブック」)
駅前の県道271号を500mほど南下すると、道路からは見えにくいのですが、県指定のハコネウツギ(ゲンペイウツギ)があります。
「昭和55年(1980)に県の天然記念物となったこのゲンペイウツギは墓地の中にあり、献花用として植栽されたものだといわれています。地上2.5m辺りから6本に枝分かれしており、樹齢200年という古木ながら、今も綺麗な花を咲かせています。」(参照:但馬の百科辞典)
訪れたときは6月の後半で、花の時期はとっくに過ぎており、残念無念でした。赤白の花が咲くので、源平(ゲンペイ)と言うらしいです。
参照文のとおり、民家隣接の墓地の中にありますので、訪れる際は踏み荒らしたりしなうよう、十分に配慮してください。
(私が訪れた時はお家の方がおられ、お話をお伺いすることができました。ありがとうございました。)
今度は養父駅を円山川沿いに北上しましょう。
1.8kmほど行くと、浄土宗西念寺様があります。
大きな松ですね。知り合いの所は松くい虫に次々とやられてしましましたが、大事にされているんでしょう。
浄土宗ですからご本尊は阿弥陀様ですね。
本堂前でお参りをしたあと、石碑を拝見します。その石碑は、、。
木戸孝允(桂小五郎)の史跡です。
「養父市場の西念寺に、明治維新で活躍した桂小五郎、後の木戸孝允の顕彰碑があります。石碑には「維新史蹟、木戸孝允(きどたかよし)公潜伏遺跡、当時桂小五郎」に続いて「元治元年(1864)蛤門の変、出石に落入り潜伏、時々幕吏の来りて公を物色するあり、万一を憂いて此の寺に来り、寺男となりて人目を避けたる遺跡」と記しています。石碑は昭和8年に出石郡教育会が建設したものです。」(参照:養父市HP)
桂小五郎の史跡と言えば、但東町久畑の関所での問答、出石の潜伏地、城崎で幾松との逢瀬、、と思っていましたが、あちこちに残っているもんですね。
ちなみに、桂小五郎は若い頃の写真を見ると、ジャーニーズにいそうな男前ですね。芸妓・幾松が追いかけてくる訳だ、、。
西念寺を更に900mほど北上すると、養父神社に到着します。
きっと紅葉の照り映える季節がいいのでしょうけど、青葉若葉の頃も清々としていいですよ。
但馬五社の一つでお参りされた方も多いのでは?
神社の歴史は約2000年。(参照:養父神社HP)
びっくりです。歴史の重みを感じます。
なぜか、神社やお寺に行くと空気感が違うんですねぇ。
県登録文化財、市指定文化財が多数あり、社殿の彫刻は見事で見飽きません。
神様をお守りしているのは、一般的には狛犬ですが、この神社では何と、オオカミ!
田畑を荒らす猪や鹿から作物を守る益獣として、狼を守り神にされたようです。(参照:養父市HP)
そういえ狛犬よりも、かわいいような気がします。(本物の狼がかわいいかどうかは分かりませんが)
こちらも何となく愛嬌がありますね。
一般的に、口を開けているのが雄、閉じているのが雌ですが、こちらでは反対で、閉じている方が雄なのです。
その証拠と言ってはなんですが、、
はい、ありました。
下調べで知っていたのです。
失礼とは思ったのですが、どうしても拝見したくなり覗かせていただきました。
養父神社から一度バックし、大藪橋で円山川を渡り、養父市大藪の集落に入ると、県指定文化財のコウモリ塚古墳があります。
案内板によると、長辺約28m、短辺約23mの大型方墳だったようです。
石室が開口しており、中をのぞくことができますが、やはり大切な場所ですので外から見るだけにしておきます。
長い長い年月の間に、大きな木の根っこが石室の石を抱きかかえています。
何か、アニメで見たような、、と思った方。
そうです、「天空の城ラピュタ」のようですねえ。
ここも踏み荒らさないように、見学させていただきましょう。
養父駅周辺は円山川がゆっくり流れ、気持ちの良い景色が広がります。列車で自転車を輪行し、皆さんもいかがですか?
但馬はいつでも、旅人を迎えてくれます。
電車で来られる方はこちらもご覧ください
「たじま途中下車の旅」~養父駅編~