ウツボホコリ Arcyria denudata
変形菌綱,ケホコリカビ目(Trichiida ),ウツボホコリ科,ウツボホコリ属
靫埃
*この記事に掲載されている写真にはウスベニウツボホコリ(Arcyria minuta)が含まれている可能性が高いことが分かりました。記事を書いた当時は変形菌に関する知識が浅く、顕微鏡による確認もしておらず、その後、専門家に標本を見ていただいたところ、ウツボホコリと思っていた標本にウスベニウツボホコリが複数含まれていることが分かりました。そのため、この記事に使用した写真にはウスベニウツボホコリが含まれている可能性があり、今となっては確認することが困難な状況です。対策として便宜的ではありますが、表題に「広義」を追加し、「ウツボホコリ(広義)」と修正しました。2025年5月27日追記。
ウツボホコリ、変形菌の一種である。
和名のウツボ(靫)は、魚のウツボ(靭)ではなく、矢を入れて背に負う細長い入れ物のことで、形から連想されたもののようだ。
未熟時のソーセージのような形の子嚢のなかで圧縮されていた細網体が、成熟とともに先の方から伸びだして、胞子を飛ばし、やがて細網体がたわしの塊のような感じになる。若い子嚢は赤褐色が強く、老熟とともにくすんだ褐色となるが、色の変異は広い。子嚢の伸びる方向は上下斜め関係無いようである。
子実体の形成に失敗したものが見られる。
胞子につられるのか、小さな甲虫、陸生巻貝、ダニの仲間がよく見られる。
こちらは、同じ変形菌で別種のおそらくツヤエリホコリの子実体と混在して発生している。にぎやかな小さな世界。
ウツボホコリは変形菌のなかでもよく見られる種のようで、世界に広く分布する普通種。但馬においても普通種だと思う。
春から秋、朽ち木などに群生。子嚢は6㎜程度まで。
よく似たものにコウツボホコリ、キウツボホコリなどが知られている。