神鍋山で野菊を探そう
神鍋山にはたくさんの種類の野菊(シオン属)が咲いています。
遊歩道沿いの湿った場所にはヨメナが咲いています。葉の手触りはツルッとしています。これは重要な特徴ですので覚えておきましょう。花の色は薄い紫です。少し艶っぼく見えるかもしれません。花びら(正しくは舌状花)が多かったらオオユウガギクかもしれません。はっきりとさせたかったら花を分解する必要があります。冠毛と呼ばれる部分の長さが決め手です。1mmならオオユウガギク、0.5mmならヨメナですが、気にせずヨメナでもいいですね。いずれにしてもヨメナやオオユウガギクは冠毛が非常に短くて肉眼ではよく分かりません。神鍋山に生えている他の野菊は冠毛が長くてよく分かります。わざわざ花をちぎらなくても近づいてよく見れば冠毛の有無は分かります。
葉を触ってざらざらしていたらヨメナではありません。紫の花をつけていたらノコンギクです。ヨメナと違って乾燥した場所に生えます。ノコンギクの花の色は白から濃紺まで様々あります。残る野菊の仲間の花は全て白色です。神鍋山のノコンギクは白花が多いようです。
他の種とは葉の特徴で見分けることになります。青い色の花のノコンギクをよく見て葉の葉形を覚えておきましょう。
一番下の葉がとても大きくて心形という特徴的形をしているのはシラヤマギクです。花びらも数が少なくてまばらについています。こんな花はシラヤマギクだけです。
山裾などに多いのは、ケシロヨメナとイナカギクです。葉柄が茎にどんな風に着いているかで見分けます。ケシロヨメナは短い葉柄がありますが、イナカギクは葉柄がなく茎を半ば抱きます。イナカギクは、毛が多くて手触りが心地よいですが、ケシロヨメナはザラザラします。まずは両種がノコンギクと区別できたらよしとしましょう。実は神鍋山にはタマバシロヨメナという野菊もあります。この野菊は名前の通りに葉の形が卵形なんですね。
神鍋山を特徴付けるのはヤマジノギクの存在です。草原性の野菊で各地で激減しています。神鍋山ほど個体数が多い場所は稀になってきています。
何故、神鍋山にこれほどのヤマジノギクが残っているのか? それは定期的に草刈りが行われているからです。スキー場の管理のための草刈りがヤマジノギクを守ってきているのです。他の野菊たちも一緒で、遊歩道の草刈りが彼らを支えています。
春には、ミヤマヨメナが咲きます。
今回の踏査では見ませんでしたが、もう少し標高の高い方に行くとゴマナという野菊も生えています。