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ムラサキツメクサ

ムラサキツメクサ(アカツメクサ) マメ科

ムラサキツメクサは、よく見かけるシロツメクサに近縁の植物です。私はムラサキツメクサという名前よりも、シロツメクサの対になっているアカツメクサという名前の方が好きです。どちらもヨーロッパ原産の外来植物で、牧草として導入されたものの子孫だと思われます。

ムラサキツメクサとシロツメクサは、Trifoliumという同じ属です。Trifoliumは、「treis(3)」+「folium(葉)」という意味で、3枚の小葉が1セットで1枚の葉になる特徴をよく示した名前です。同じ属だけあって、花の様子も葉の様子も似ています。しかし、当然ながらよく見るとやっぱり違います。

シロツメクサの茎は地上をはい、踏みつけに強いのですが、ムラサキツメクサの茎は縦に直立し、大きなものは60㎝ほどの高さにもなり、何度も踏まれると枯れます。そのことも理由になってか、堤防ならシロツメクサは天端部にムラサキツメクサは法面や高水敷に生えています。土壌もムラサキツメクサの場所の方が発達しています。

ムラサキツメクサの葉は、シロツメクサの葉より一回りは大きく、たくさんの毛が生えています。シロツメクサには四つ葉がしばしばみられますが、ムラサキツメクサではまず見られません。シロツメクサが四つ葉をつける理由の一つに、葉の原基という部分が、踏みつけられて傷つくというものがありますが、ムラサキツメクサの方は、踏みつけられると四つ葉をつけるどころか枯れてしまうのでしょう。

シロツメクサ

花は大きさや色は違いますが姿形は似ています。ムラサキツメクサもシロツメクサも小さな花がたくさん集まって、丸いボールのような形になります。二つの種は受粉してからの花の様子が大きく異なります。シロツメクサは昆虫が運んだ花粉で受粉をする植物ですが、受粉した花は下を向きます。ムラサキツメクサは、受粉しても花は下を向きません。

ムラサキツメクサには白花があって、セッカツメクサと呼ばれます。赤い花だと白花を見つけると得をした気分になりますし、白い花だと他の色がほしくなりますし、人間は勝手なものだと思います。

ムラサキツメクサ、シロツメクサのツメクサは、「詰め草」です。日本には、ツメクサというナデシコ科の植物がありますが、こちらは「爪草」です。詰め草は、乾燥させたシロツメクサが、江戸時代にオランダから輸入されていたギヤマンと呼ばれるガラス製品が割れないように衝撃緩衝材として使用されていたことに由来します。今なら発泡スチロールやプチプチを使いますが、乾し草の方が環境に優しいのかもしれません。

 

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