たじまのしぜん

ナニワズ

ナニワズは、ジンチョウゲ科の植物です。早春に黄色い花を咲かせます。ジンチョウゲ科だけあって、よい香りがします。
 2009年の3月末にキンキマメザクラの写真を撮ろうと豊岡市目坂から竹野町床瀬を抜けて竹野町森本まで走りました。たまたま撮ったキンキマメザクラの下にこのナニワズがありました。

キンキマメザクラ。この木の根元の山側にナニワズが生えていた。
 ナニワズは春に花が咲き、実をつけます。ナニワズは6月頃には葉を落としてしまうという変わった木です。この性質のためにナツボウズと呼ばれることもあります。9月頃には新しい葉が出てきて、広がった葉は雪の中でも緑のままです。普通の落葉樹とは逆ですね。
 これは、夏には葉がなくなり、秋に葉を展開する日本タンポポと同じです。おそらくは、日本タンポポのように他の植物が枯れたり落葉したりしている早春期には光を独占し、他の植物に遮られて日差しの届かない夏期はじっと耐える戦略なのだろうと思われます。

ナニワズとは、葉と花の様子が若干違うだけのオニシバリ(ナツボウズ)という非常によく似た植物があります。
 2000年に出版された『樹に咲く花 離弁花2』には、ナニワズ;北海道、東北地方、北陸地方に分布するとあり、オニシバリ;東北地方南部~東海地方の太平洋側、近畿地方以西、四国、九州に分布すると書かれています。
 他の図鑑にも同様なことが書かれていて、ナニワズは福井県が分布の西限であると書かれているものもあります。そんなことでこれまで兵庫県にはナニワズは生育せずオニシバリが生育すると考えられてきました。

その歴史を兵庫県で出版された本で追ってみます。
 『兵庫県植物目録』という本が1971年に出版されています。ある植物が兵庫県に生育するかどうかを目撃情報によって明らかにした本です。この本には、オニシバリは載っていますが、ナニワズは載っていません。ナニワズは兵庫県には生育しないと思われていたのです。

キブシもたくさん咲いていました。
 『兵庫県の樹木誌』という本が1995年に出版されています。この本は、目撃情報ではなく植物標本による確認を経て、ある植物が兵庫県に生育するかどうかを明らかにしています。ここには、オニシバリだけではなくナニワズが出てきています。
 オニシバリには、「県下では南部の山地林床に稀か?」とあり、大屋町、青垣町、丹南町の証拠標本が挙げられています。
 ナニワズには、「県下では但馬の山地に稀に分布。」とあり、浜坂町、日高町の証拠標本が挙げられています。
 「兵庫県産維管束植物5」という資料が2003年に出版されています。ここには、オニシバリはなく、ナニワズだけが載っています。標本を再検討した結果、兵庫県産の標本は全てナニワズと判断されたのだと思います。
 ということで、とりあえず兵庫県のオニシバリはナニワズであるということになっています。稀な植物ということで兵庫県版レッドデータブックではCランクになっています。
 私の観察では、それほど稀な植物ではないと思います。

これは地蔵傘ツバキというそこそこの巨木です。

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