エドヒガンはどこにある
今年は少し時間があったので前から気になっていた調査をすることができました。
エドヒガンの分布調査です。
但馬で最初に咲く桜はキンキマメザクラです。次に咲くのがエドヒガンです。エドヒガンと同じか少し遅れてヤマザクラが咲きます。その後にソメイヨシノが咲きます。
エドヒガンとソメイヨシノの間にはおよそ1週間くらいの間が空きます。そしてソメイヨシノが散ると最後の桜であるカスミザクラが咲き始めます。
私はソメイヨシノが咲く前に山に咲く白い桜はエドヒガンに違いないと思っていました。
特に近畿道から見える養父市の桜は大変怪しいと思っていました。そこでソメイヨシノが咲く前に大急ぎで駆け回りました。
最初の目的地は養父市の桜がたくさん咲く山にしました。
ヤマザクラ 葉は赤~オレンジ
エドヒガン
エドヒガンは花に特徴があって近くから見れば簡単に区別できます。
同時期に咲く3種の特徴を簡単に書きます。キンキマメザクラは多くがピンクの花をつけ低木です。樹冠に出ることはありません。自生種で高木はヤマザクラとエドヒガンしかありません。ヤマザクラは花と一緒に赤い葉が見られます。エドヒガンは花と一緒に葉がないことが多く、あっても緑色です。ヤマザクラの花の顎筒には毛はなくすらっとしています。エドヒガンは顎筒に毛が生えており、ぷくっと球形に膨らんでいます。600mm相当の望遠レンズで写真を撮れば写真判定が可能なはずです。
しかし現実は甘くありません。たくさん咲く場所は山の中腹以上です。望遠レンズでもお手上げです。その山の連なりに同じ色のサクラが点々と咲いています。なんとか近づける木を見つけました。
間違いなくエドヒガンでした。樹皮の特徴もエドヒガンです。手の届く場所なので後日葉も確認できます。
赤丸:エドヒガン 赤四角:エドヒガン植栽 オレンジ:ヤマザクラ 桃色:桜(多くはエドヒガンと思われる)
観察を続ける中で、養父市の白い花のサクラは、どうやらエドヒガンの可能性が高いことが分かってきました。
今回の調査で、養父市にはエドヒガンがまとまって生育する場所がある。豊岡市では日高町にかたまって生えている場所があり、花色は白だけでなくピンクもあることが分かりました。
ヤマザクラには非常に早く咲くものがあり、花色も白から濃いピンクまで様々あることが分かりました。
弥高神社
おまき桜 ほそき神社
さて、最後になりますが、これらのエドヒガンが自生なのかという疑問があります。
現在、多くが自生状態にあることは間違いありません。
しかし神社や寺院に植えられたと思われるものが少なからずあります。代表的な巨木には植栽という説もあります。
多くの場所に植栽されているしだれ桜はエドヒガンなのですが、その子孫の多くはしだれずに普通のエドヒガンになります。
観察を続けていきたいと思います。