謎の2倍体タンポポ

小学校2年生は国語の時間に「たんぽぽのちえ」とい説明文を読みます。指導が終盤になった頃、私は担任の先生に「タンポポの話をしてやってほしい」と相談を受けました。今から9年前のことです。タンポポ博士として登場した私はいろいろと話をした後でタンポポ調査をしているのでタンポポを届けてほしいとも頼みました。

その時の子どもの一人が何年かして大きなタンポポを持ってきました。家族で遊びに行った先にあったというのです。覚えてくれていたのがとても嬉しかったです。私はこのタンポポをクシバタンポポだろうと判断しました。
　2004年の近畿圏一斉タンポポ調査の予備調査で、私はそのタンポポを探しに行きました。もっと来てくれた子どもの説明が正確だったので、そのタンポポはすぐに見つかりました。
　標本を人と自然の博物館に送ると意外な返事が返ってきました。そのタンポポはクシバタンポポではないというのです。兵庫県では知られていない2倍体のタンポポだというのです。おそらくどこかからやってきたのだろうというのです。驚きました。

そう聞くとそんな気もします。この謎のタンポポは、駐車場横の植え込みの中に大量にありました。植木と一緒にタネがやってきたのかも知れません。

2倍体タンポポというのは、染色体が16本あるタンポポです。日本に生えているタンポポには染色体が24本(3倍体)、40本(5倍体)なそ様々なものがあります。2倍体以外のものを倍数体と呼びます。
　2倍体タンポポと倍数体タンポポは花粉を顕微鏡で見ることで区別できます。
　2倍体；花粉の大きさがそろっている。
　倍数体；花粉の大きさがばらばら。
　もうすぐ次の近畿圏一斉タンポポ調査が始まります。きっとまた意外な発見があると思います。今から楽しみです。