今年も但馬の川にサケが帰ってきました!
サケというと北海道のイメージが強いのですが、西日本の日本海側の川にも遡上産卵します。現在、毎年遡上する西限は島根県とされていますが、九州北部の川に遡上することもあるようです。今年は九州でも遡上したと聞いています。
但馬では11月に入った頃、川に遡上します。今年は少し遅れているようでして、11月中頃から本格的に姿を見るようになりました。
オスです。鼻が曲がっており、メスより背中が高いです。
すぐ目の前を横切っていきました。全長1メートル近くはありそうな、とても大きなオスでした。
メスはスリムな体型です。産卵床を掘るのに尾びれを酷使したのでしょう。変色して白くなっています。
産卵をした場所「産卵床」です。わかりにくいですが、真ん中の色が変わっている辺りがそうです。川底を尾びれで掘って産卵します。
稚魚は冬にふ化し、春に海へ下ります。その後、日本海を北上し、遙か北方のベーリング海や北アメリカのアラスカ湾に向かいます。この海域はオキアミなど餌生物が大変豊富です。4年後、全長70センチ前後に成長し生まれた川に帰ってきます。約90パーセントのサケが間違えることなく自分の生まれた川を上るようです。
命尽きたサケ。モクズガニが食べていました。産卵を終えると、自分が生まれた川の土へと還ってゆきます。
海でエサを沢山食べて育ったサケは、川で産卵を終えて命が尽きると、そこに生息する色んな生き物に利用されます。このモクズガニであったり、鳥であったり昆虫であったり。またクマやキツネなどの哺乳類も利用します。
山や川など陸域の物質は海洋に流れ出る一方ですが、サケは海洋の物質を陸域に運ぶという、生態系における物質循環の中で重要な役割を果たしていると考えられています。
北アメリカの海の栄養分が、サケによって但馬の川や野山に運ばれてくるのです。但馬の川でも、地球規模の物質循環が繰り広げられているのです。
長旅を終え、役目を果たした但馬のサケ。
よう帰ってきんさったなぁ、よう頑張んなったなぁ。