ウグイは但馬のほぼ全ての水系に分布しており、上流域から下流域にかけて生息しています。雑食性で、水生昆虫や藻類など、色んなものを食べます。大きさは最大で50センチになりますが、よく見るのは20センチ前後です。川で暮らす魚ですが、海に下る降海型もいます。但馬では“いす”と呼びます。
4月~5月はウグイの繁殖期です。この画像のように、繁殖期になると赤と黒の鮮やかな婚姻色になります。日本の淡水魚には繁殖期に鮮やかな婚姻色になる種がいくつかいます。そのほとんどはオスでして、メスは地味な色のままです。しかし、このウグイはオスもメスも鮮やかな婚姻色になります。但馬では婚姻色の出たウグイを“さくらいす”と呼びます。桜が咲く頃、色鮮やかになるからでしょう。
繁殖期と非繁殖期の比較です。非繁殖期の画像は10月に撮影したものです。非繁殖期は銀色一色です。まるで別の種類かと思うほどの違いです。
産卵の様子です。1匹のメスに複数のオスが群がって産卵をします。
昔、但馬では、春になると多くの川でこのような光景が見られたようです。しかし、今ではこの光景が見られる場所は多くありません。
現代では、私たちは川に接する機会がほとんど無くなりました。かつて生活の中に川があり、魚が沢山棲んでいた頃の人々は、川面に見える魚の姿からも春を感じていたのかもしれません。“さくらいす”という呼び名が、そう思い起こさせます。