4月の半ば頃になれば、南の国で冬を過ごした渡り鳥が、繁殖のためにふるさとの日本に戻ってきます。この渡り鳥のグループを「夏鳥」と呼びます。夏鳥を代表する鳥のひとつがオオルリです。スズメ目ヒタキ科の鳥で、非常に美しいルリ色の羽根を持っています。
オオルリは春に戻ってきてしばらくは、渓流沿いの低い場所でよく観察されます。繁殖のための縄張りが確定すると、オスが高い木のてっぺんに常駐して美しい声で囀り続けます。渓流を歩けば、高いところから「ピーリーリーリー」と尻下がりのオオルリの声を聞くことができます。最後に「ジジッ」と濁った声をつなげるのも、オオルリの囀りの特徴です。大きく美しい鳴き声は聞けても、木の上にいる姿を見つけるのはなかなか難しいです。
オオルリのメスの羽根色は地味なベージュ色です。声量はずいぶん小さいですが、オスに似たリズムで鳴きます。オオルリと並ぶ代表的な夏鳥にキビタキがいます。オスは青と黄でまったく違う羽根色をしているのに、メスは両者とてもよく似ていて識別に悩むこともしばしばです。
オオルリは崖下のコーナーなどを利用して巣を作ります。山中にある人工物を利用することもしばしばです。この写真の例では、別荘の地下の壁にあいたちょっとしたニッチをうまく利用しました。苔を積み上げてお椀型の巣を作ります。
繁殖を終え、巣立ちビナに飛翔力が備わった初秋、オオルリは冬越しのための南への長旅に出ていきます。