ミナミメダカ ダツ目 メダカ科
日本に生息するメダカは、キタノメダカとミナミメダカの2種とされています。丹後・但馬地方はそれぞれの分布域の境目にあたり、両種とも生息しています。キタノメダカについては、2013年7月の投稿https://www.tajima.or.jp/modules/nature/details.php?bid=481
を参照してください。
今回はミナミメダカです。分布域は、日本海側では京都府以西、太平洋側では岩手県以西となっています。
生息環境はキタノメダカと同じです。小川や田んぼ横の水路、沼地など、流れの緩やかな水域に住んでいます。これらの写真は、但馬のとある河川流域で撮影しました。但馬ではそれぞれの河川流域ごとにメダカの種類や遺伝的なタイプが異なります。それぞれの地域のメダカを大切にしなければなりません。
上:ミナミメダカ 下:キタノメダカ
キタノメダカとミナミメダカの、気になるその見分け方です。両種はとても似ているので、ぱっと見ただけでは分からないでしょう。背びれにある大きな切れ込みが浅いか深いかで見分けることもできるそうですが、それよりも確率が高いのが、尾びれの付け根にある黒い部分と言われています。
左:ミナミメダカ 右:キタノメダカ
赤線で囲った、この黒い粒状の集まりが、ミナミメダカでは二つの楕円を上下に並べたようになっていますが、キタノメダカでは弓状です。(キタノメダカの方は鱗の黒い模様があるので注意)今回採集した個体全てにこの黒色の斑紋があった事と、採集地がミナミメダカの分布域であるという事から、ミナミメダカと同定しました。
水路の水草の陰に潜むミナミメダカ
今回撮影した生息地は、あまり広くない水田エリアです。限られた場所で何とか存続しているような状態です。宅地造成などが行われれば、瞬く間にここの群れは消滅してしまうでしょう。また、メダカたちはそれぞれの地域ごとに環境に適応して進化してきており、遺伝的にも異なります。ペットショップで購入したものや、他の地域のメダカの放流は、その特性を壊してしまう事が考えられるので、止めなければいけません。
それぞれの地域で生き延びてきたメダカたちが滅びることがないよう、私達は気を付けなければなりません。
写真・文 コウノトリ市民研究所 北垣和也