春先の渓流沿いを歩くと、高らかに歌う鳥の美しい囀りに、しばしうっとり聞き惚れてしまいます。大きな声で鳴いているのに、その姿を見つけるのはなかなか難しいのですが、正体はこの鳥。ミソサザイといいます。
ミソサザイの体長は10センチほどで、日本で一番小さな鳥のグループです。スズメより大分小さい鳥です。ソングポストと呼ばれるお気に入りの場所をいくつか持ち、それぞれの場所を巡回しては囀りを続け、縄張を宣言しています。
囀りをやめたミソサザイは,途端に小さな存在に変わります。こげ茶色の地味な色は風景の中に溶け込んでしまいます。水辺を移動しながら、羽虫などを捕まえて食べます。
ちょっとした崖の下がミソサザイの巣作りの場所。苔を編んだ壺状の巣を作ります。今はあちこちで、新しいヒナが孵っている時期です。繁殖期を過ぎるとミソサザイの声もぱったりとやみます。
写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信