ナメラマメホコリ
マメホコリは、ふつう子実体の表面に突出する鱗片があるのだが、その鱗片が皮層に沈下し、ほとんど平滑に見えるタイプがある。
日本変形菌誌(山本幸憲、2021年、日本変形菌誌作成委員会)では、これが変種ナメラマメホコリとして記載されている。ただし、「*本変種を区別しない見解もある。」と注意書きされている。
上の写真は皮層の鱗片が突出するマメホコリ
今回はこのナメラマメホコリらしきものを確認したので報告する。
今回確認したものは、2023年11月8日豊岡市目坂で採取したもの。鱗片が皮層に沈下しほとんど平滑に見えるという点では、ナメラマメホコリの条件は満たしている。明らかに突出する鱗片がある普通のマメホコリとは異なっている。
しかし、確実にナメラマメホコリであるかというと自信がない。
というのは、日本変形菌誌の記載では、変種同定最大のポイントと言える鱗片の突出・非突出以外にも、細毛体や胞子の形状の差異が書かれているが、それらが私にはよく分らないのである。また、発生時期もナメラマメホコリは主に夏となっているが、私が確認したのは11月、これは必ずしも致命的ではないが自信がなくなる。
今回自分なりにマメホコリをいろいろと眺めてみたが、鱗片の突出にも様々なタイプや程度があり、連続的であり、中間型があると感じた。
またあくまでも仮説であるが、秋が深まるにつれて、気温の関係か何かで鱗片が突出しにくくなる傾向があるのではないか、つまり鱗片の突出には環境の影響もあるのではないかという感じもした。
上の写真は鱗片の突出が確認できるが比較的穏やかなマメホコリ
なので、鱗片が皮層に沈下し、ほとんど平滑に見えるタイプのマメホコリを確認した、というのが正しいのかもしれない。
上の写真は鱗片が比較的淡色で、皮層に沈下まではしていないが突出はせず、ほとんど平滑に見える。よってナメラマメホコリとした。
最後に悪い写真であるが一応顕微鏡写真も上げておく。
写真はこの記事で紹介したマメホコリ 胞子と細毛体 ×400
写真は今回確認したナメラマメホコリ 胞子と細毛体 ×400