カモの中でも、潜水採餌で魚を食べるアイサのグループは、他のカモとは少し違った生態を持っています。豊岡盆地の河川では大型のカワアイサが越冬飛来し、下面が真っ白なオスは遠くからでもその姿がよく目立ちます。
今回紹介するミコアイサも、オスは写真のように白い色が目立ちます。アイサの中では小さく、お馴染みのコガモよりひと回り大きい程度の水鳥です。
名前の由来は、巫女(みこ)さんの白装束に由来し、オスの美しい姿を見つけるのが冬鳥観察の楽しみの一つになっています。ただし当地への越冬飛来数は少なく、珍しい部類の野鳥のひとつです。オスの姿から、鳥仲間の間ではパンダガモの愛称で呼ばれています。
警戒心が強く、観察者が近づくとあっというまに遠ざかってしまい、その後、近くに寄ってくることがありません。美しいオスの姿を、近くで撮影するのが難しい鳥です。
ミコアイサは、豊岡盆地では円山川河口で観察することがほとんどで、盆地中央の流域で見かけることはまれです。汽水域を好み、ハゼを中心とする小魚を捕食しています。
写真の左はミコアイサのメスです。灰色で、頭にえんじ色の帽子をかぶったような姿をしています。他のカモ同様、オスの美しい姿に比べて、メスは地味で目立たない色をしています。
3月になればここでの越冬生活を終え、シベリア方面へと旅立って行きます。ユーラシア大陸のタイガと呼ばれる森林帯で、樹洞で営巣するそうです。