渡り鳥の季節もいよいよ終盤になり、多くの渡り鳥は越冬する目的地に到着したか、その手前の中継地にいることでしょう。10月中旬の円山川河川敷のヨシ原は、旅する渡り鳥の多くが中継地として利用することで知られています。
天敵に見つからないよう、深いヨシ原の中に身を潜めていますので、それらの渡り鳥を観察するのはなかなか難しいことです。この時期にヨシ原で実施される環境省の鳥類標識調査では、これらの旅鳥の存在が明らかにされてきました。
継続的に野鳥観察を続けていると、思いがけない鳥に出会うチャンスが訪れます。今回は秋の渡りのノゴマに出会うことができました。日本では北海道が主要な繁殖地で、秋になると南の国へ渡ってゆきます。
ノゴマの渡りはグループで行われ、秋の観察では同じ場所で複数羽を見ることができます。喉の赤いのはオスで、英名の「ルビー・スロート」(ルビー色の喉)の通りの美しいツグミの仲間です。一方のメスはこの赤い色がありませんので、とても地味な鳥です。
春の渡りでは、北の繁殖地に向かうノゴマを見ることができますが、ソングポストと呼ばれる見晴らしの良い枝先などに止まって囀りますので、秋のノゴマより観察チャンスが増えます。秋のノゴマは見る機会が少ない分、出会えればうれしい気持ちになります。
たとえ見ることができなくても、このような鳥が、毎年確実に円山川のヨシ原を利用して行くことを知ってもらえれば幸いです。
写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信