駅からレンタサイクルや列車に自転車を輪行して行くことのできる見どころ情報をお送りする「駅サプリ」。
(サプリは補足という意味です。「たじま途中下車の旅」を”個人的に”補足し、またお読みくださる皆さんの心の栄養補給の足しになれば幸いです。)
第16回はJR山陰線「久谷駅」です。(駅近辺の見どころは、たじま途中下車の旅「鉄道遺産 桃観トンネルそばの秘境駅から伝統を受継ぐ村・久谷を歩く」に詳しくのっています。先に見てね。)
まだ紅葉の残る久谷駅に、負けず劣らずカラフルな列車が入ってきました。そしてその先に見えるのは難工事の末完成した桃観トンネルです。
久谷駅の山側広場に、国鉄職員尾崎宏の弔魂碑が建っています。
同氏は国鉄に37年間勤務し、当時は香住駅の管理総括助役として各駅の管理業務に従事していました。昭和51年12月26日から周辺は大雪となり、27日も雪はますます強くなりました。責任感の強い同氏は早朝から列車の正常運転確保のため久谷駅で除雪作業を行っていましたが、進行してきた列車に気付くのが遅れ、列車に触れて殉職しました。多くの人に信頼されていた同氏の死を悼み、弔魂碑が建立されました。(参照:新温泉町HP)
途中下車の旅で紹介されている「桃観トンネルの招魂碑」といい、久谷駅周辺は鉄道に命をささげた方々の歴史が残っています。
久谷にある八幡神社と兵庫県指定重要無形民俗文化財の久谷ざんざか踊りは、途中下車の旅に詳しくのっていますので、神社の彫刻について紹介します。
龍や獅子、獏、鳳凰など立派な彫刻が施されています。T2のNo93号によると、丹波の中井権次一統によるものです。
久谷には国の重要無形民俗文化財に指定されている菖蒲綱引きがあり、看板と石碑が設置されています。
端午の節句行事として、6月5日に行われ、生の菖蒲やよもぎ、すすきを編みこんだ綱をおとな組と子ども組に分かれて7回引き合い、7回目の勝負でおとな組が勝つと、その年は豊作になるといわれています。(参照:新温泉町HP)
一つの区に、県と国の無形民俗文化財が残るとは、、。伝統を重んじる精神と、区民の結束力の賜物でしょうか。
菖蒲綱引きの石碑の近くに力石が何気におかれています。
隣に建てられた看板によると、石を持ち上げることができれば、願いが叶う「石占い」に使われたそうです。
ただし、持ち上げるには大変重そうです。ガラスの腰の私には、とっっっても無理です。
久谷周辺では山陰線をくぐる隊道があちらこちらに見られます。
明治の頃、トンネル延長を最短に抑え鉄路を急勾配にしないため、海抜の低い地域では堤を築きその上に線路が敷設されました。そのままでは地域住民の生活域を分断してしまうため、解消策として数多くの隊道が造られました。道だけでなく水路もくぐっています。
そんな隊道の一つが、この眼鏡トンネルです。右が道で左には川が流れています。
さて、これを見て私くらいの年齢の方は、何かに似ているような、、と思いませんか?
漫画で、、手塚治虫のキャラクターといえば、、。
はい、そうですね。ヒゲオヤジ、です。
(?と思われた方は、「手塚治虫 ヒゲオヤジ」で検索してみてください。ただし、皆さんにご納得いただけるか分かりません。想像力は無限大です)
集落の端には五輪塔があり、その上の山は見晴らしのよい高台になっています。
右手は山陰線、田んぼの向こうは浜坂方面です。心地よい風に吹かれて、ちょっと休憩。
久谷の集落から3kmほど久斗川を上流にさかのぼり、辺地の集落に入ります。すると20体ほどの案山子が出迎えてくれます。なごみ会の皆さんの作品です。
山際に並べられた案山子たちは、今や森の精のような風情を醸し出しています。
旅の最後は辺地区の三柱神社に参拝します。ここには新旧の狛犬が置かれています。旧の狛犬は長年のお勤めによりすっかり丸くなり、孫が親の足元で玉遊びをしています。
久谷駅の周辺で、伝統と文化、日本の近代化にかけた情熱を感じてみませんか?
但馬はいつでも、旅人を迎えてくれます。
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