但馬に春を告げる奇祭といえば、養父市の「お走り祭り」を思い浮かべる方も多いのでないでしょうか?
今年は残念ながら新型コロナウィルスの影響によりお走り祭りの神輿巡業は中止となり、神事だけが行われました。
その神事が行われたのが斎(いつき)神社です。
今回は養父神社からスタートして、片道20kmの道のりを周るお走り祭りの終着点、斎神社を紹介したいと思います。
斎神社は、養父市長野の建屋川沿いにあり、石造りの鳥居が目を引きます。
斎神社の拝殿はとても新しくきれいで平成28年に建てられたものだということです。
斎神社は、平成21年8月の台風9号による豪雨で地域は大きな被害を受けました。
斎神社でも境内が土石流で埋まって神社の中心建物が全壊するという大惨事となったそうです。
現在の拝殿や本殿はその後再建されたようです。
倒壊した本殿の様子です。(過去の但馬情報特急の記事より)
拝殿の中の壁には、額に入れられた絵馬がいくつか飾ってあります。
その一つにお走り祭りに関する絵馬があります。
明治32年に地元の絵師が、斎神社に到着した江戸時代のお走り祭りの祭礼行事を描いた奉納絵馬が飾られています。
「お走り祭り」が長く地域に根付いてきたことをうかがわせる絵馬ですね。
この絵馬は養父市の指定文化財にもなっており、この絵馬が乗っている絵葉書が拝殿で配布されていました。
お走り祭りに関しては、ふるさと特派員のきっさんに何度も取材していただいています。
以下は、お走り祭りや名物の川渡御についてきっさんの記事の写真からご紹介させていただきます。
「お走り祭り」の起源は不明とされていますが、その昔、但馬がまだ泥海であった頃、斎神社の彦狭知命が豊岡市瀬戸を切り開くことで大地を創造し、養父神社の養父大明神が但馬五社を代表して、彦狭知命にお礼参りしたことが始まりという伝説があるようです。(但馬事典「ザ・たじま」を参考)
(2015.4.18きっさん投稿記事より)
(2016.4.16きっさん投稿記事より)
お走り祭りは、4月中旬の土曜、日曜に行われます。
「ハットウ、ヨコザァルカァ」とかけ声を掛け合いながら、神輿を担いで養父神社を出発します。
養父神社の急な階段も、約150kgある神輿をおろすことになります。
(2019.4.13きっさん投稿記事より)
お走り祭りの一番の見せ場といってもいいのが、神輿を担ぎながら大屋川を渡る「川渡御(かわとぎょ)」です。
小城橋付近で土曜日のお昼ごろに行われる、この川渡はこの様子を見に多くの観客やカメラマンが集結します。
(2018.4.14きっさん投稿記事より)
4月といえばまだまだ寒さの残る時期、激流にもまれながら気合で渡らなくてはいけません。。
想像しただけで凍えそうですね…担ぎ手の一致団結が必要となります!
川渡御を終えると、町内を回りながら20キロ先の斎神社へと向かいます。
※現在は20キロすべてを歩くわけではなく、移動は車を使用するようです。
その後、斎神社の神輿と養父神社の神輿が激しくぶつかり合う「練り合わせ」が行われるなど2日間にわたってお祭りが続きます。
来年以降、お走り祭りが例年通り開催され、伝統が継続していくことを願います。
(参考)
関連記事
養父市