
今季はツグミを平地で目撃する時期が早かったです。雪が降って山での採餌が難しくなってから、人里に餌を求めて降りてくるのが通常です。今年は柿の生り年に当たっており、あちこちで柿の実がたわわについています。柿の実は野鳥の好物で、たくさんの野鳥が集まって来ます。ツグミもよくやってきます。
地元の鳥仲間が、柿の実に集まっているツグミの群れの中に、見慣れない1羽が混じっているのを見つけました。ツグミのシルエットには違いないのですが、羽模様が普通のツグミとは違います。喉から胸にかけて赤味があり黒い縦斑が目立ちます。翼上面はチョコレートブラウンで、腰から尾羽にかけて灰色をしています。

電線のツグミの群れに、今回見つけた変わった一羽が並んで止まっていました。写真の右端の個体がそれです。隣の普通のツグミと比べると明らかに体が大きいのがよくわかります。羽模様の違いもわかります。

少し距離があってトリミングした画像で明瞭ではないですが、これが今回の話題の主、ノハラツグミです。ヨーロッパ北部からシベリア中西部にかけての広いエリアを繁殖地にもち、冬はヨーロッパ中南部からトルコ・イラン方面に南下して越冬します。ノハラツグミはヨーロッパのツグミと言ってよいでしょう。
そんなヨーロッパのツグミが豊岡市内で確認されたのです。日本に越冬飛来するツグミの繁殖地はシベリア中東部で、一部がノハラツグミの繁殖地と重なっています。今回の飛来個体は今年生まれの若い個体(第1回冬羽)と思われ、本来、ヨーロッパの越冬地に向かうノハラツグミの渡りのグループに入るはずだったのが、間違って日本に向かうツグミの渡りのグループに紛れ込んでしまったようです。
このようなごくまれに日本に飛来する渡り鳥のことを「迷鳥」と呼んでいます。今回のノハラツグミも迷鳥ですが、日本での目撃報告はごくわずかです。兵庫県豊岡市へのノハラツグミの飛来は、おそらく兵庫県での初記録になると思います。わずか2日間の短時間の観察記録でした。ツグミのグループに紛れ込んだまま当地で越冬を続けているのか、次の中継地に向かって移動して行ったのか、引き続き本種の再確認を意識してみます。
▼兵庫県豊岡市でのノハラツグミの確認日
初認:2025年11月9日
終認:2025年11月10日

























