ソクズ ガマズミ科
1994年くらいに兵庫県のレッドリストの試案が出されました。ソクズもその中に入っていました。ところが正式版になった時にはソクズは外れていました。「そうか、意外とあるんだな。」と思いました。
ソクズは背が高くなり、他の植物から頭一つくらい抜け出して白い花を咲かせます。普段は目立たないのですが、花の時期には目立ちます。運転していても見つけられます。ああ、ここにもあると生育地を覚えます。
円山川や六方川の堤防や河川敷に点々と生えているのを見てきました。但馬では、川のそばで生育する多年草だと思っていましたが、川から離れた神鍋山の近くにも大きな群落があります。いずれにしても人の暮らしから離れた場所には見られません。
ソクズは大きな草本です。高いものは2mくらいになります。葉は、5~7小葉から成る奇数羽状複葉の大きいものです。花期は7月~8月頃で、散房状集散花序に多数の小さな花をつけます。それぞれの花は白色で、平面的に広がり5つに裂けます。
花からは蜜は出ません。といって蜜が出ないわけではありません。花序のところどころにさかずき状の黄色いものがあります。これは腺体と呼ばれるものですが、ここに蜜をためます。しかし、この蜜が何のためなのかはよく分かりません。花とは離れているので受粉に役立つのか不明です。果実は9月に赤くなりますが、たくさんあった花の数に比べてあまりにも少なく、受粉しているのか疑うレベルです。この腺体にはしばしばアリがついていますが、受粉を助けているのでしょうか? それとも用心棒なのでしょうか? それとももっと別の働きをしているのでしょうか? 自分で調べろという話ですが、本当のところはどうなのでしょう? 皆様の研究を待ちます。
ソクズは、ガマズミ科ニワトコ属の植物です。姿形がニワトコに似ています。クサニワトコという別名があるのも納得ですが、いろいろと違います。ニワトコは春に花が咲く木ですが、ソクズは夏に花が咲く草です。
ニワトコは薬草として有名ですが、ソクズも薬効が知られています。ニワトコは、「接骨木」と呼ばれて骨折治療の際の湿布剤として用いられたそうですが、ソクズは、「接骨草」と呼ばれ同じように用いられたそうです。ソクズは、また、腫痛、利尿、リウマチ痛、神経痛などにも用いられたそうです。
ソクズは、人の気配のする場所でしか見られません。ソクズは昔に中国からやってきた薬用植物であるという説を見るとそういうことなんだろうなと思います。