オモダカ オモダカ科
湖沼やため池、水路、水田などに生育する抽水〜湿生植物ですが、最近は水田の縁に見られることが多いです。代表的な水田雑草で、中干が終わる頃から一気に大きくなって目立ってきます。大型の植物で養分をたくさん奪うので強害草であるとされています。
出芽したころの葉は細長い線形ですが、やがてへら状になり、最後は長い葉柄の先に矢じり形で3片からなる大きな葉になります。矢じりの形に似ていることから「勝軍草」(かちいくさぐさ)の別名もあり、武家を中心に家紋に使われていました。
8月頃から3枚の花びらをもつ白い花を咲かせます。花茎の上方は雄花で下方は雌花です。時には中間に両性花がつくこともあります。雌花はやがて球形の果実になります。
秋には葉の基部から数本〜多数の走出枝を伸ばし、先端に50~150個の塊茎を形成して越冬します。
オモダカは種子と塊茎で増えます。他の湿生植物が生育できない水深50cmでも塊茎と種子を作ることができると言われています。種子は土の表層近くにとどまりますが、塊根は地中深くに残ります。駆除が難しい植物です。
アギナシ生育地
よく似た植物にアギナシがあります。但馬では出石で採られた標本が残っています。コウノトリ文化館にも1点あります。こちらは水田に生えることは稀で、自然度の高い沼や湿原に生えます。オモダカの葉身の側裂片は頂裂片より長く、先は鋭く尖りますが、アギナシは逆に頂裂片の方が長く、側裂片の先は尖らずに丸くなります。
オモダカ
アギナシ
お正月に食べられるクワイはオモダカの塊茎を食用に改良したものです。葉が幅広くて全体に大型になります。