イケマ キョウチクトウ科
イケマは山地の林縁などの日当たりが良くて湿った場所に多いつる性の多年草です。葉は対生し、先は尖り、葉の基部は心形で全体はハート型です。ハート型の葉を持つつる植物を見たらイケマの仲間だと思ってまず大丈夫だと思います。しかし、それではまだ種名は決定できません。イケマとコイケマがあるのです。花の時期なら一目で分ります。花序の柄の長さが明らかに違うのです。
コイケマ・・・・花序の柄の長さは葉柄の長さと同じか短い。
イケマ・・・・・花序の柄の長さは葉柄の長さより明らかに長い。
イケマは近年よく見るようになりました。
イケマはシカの不嗜好植物なのです。有毒なのでシカが敬遠するのです。と言って全く無傷でもありません。葉や茎の先がかじられているのを見ます。きっと何も知らない若いシカがかじるのでしょう。無知ゆえにかじってみてその味や刺激に驚いてやめるのでしょう。そして次からはやめておこうと学習するのでしょう。無鉄砲な(常識にとらわれないともいう)若者が文化を先に進めるのだと思います。
イケマはキョウチクトウ科の植物です。キョウチクトウは強い毒で有名です。枝を折ると白い汁(乳液)が出ます。イケマも同じです。写真は葉を取ってすぐのイケマです。乳液が出てきました。皮膚につけたりしないようにしましょう。ところがこの有毒の植物はアイヌ人たちには重要な植物で、呪術用(魔除け)、薬用、食用に用いられていたのだそうです。
イケマはアイヌ語です。イ(それ(神))、ケマ(足)なので、「神の足」という意味のようです。アイヌ語がそのまま生き物の名前として使われている例があります。動物ではラッコとかシシャモがそうです。植物だとイケマがその例になります。