ノジスミレ スミレ科
畑がたくさん広がっている場所で畑と畑をつなぐ細い道、そんなところでよくノジスミレを見ました。車を止めて、畑に近づいていくと細い道沿いに必ずといってよいほどノジスミレに出会えました。それが、いつの頃からか、ノジスミレに出会わなくなりました。不思議だなあと思いました。そんな頃『京都府レッドデータブック2002』でノジスミレが準絶滅危惧種になっていることを知りました。「京都はそんななの?」と驚くと共に、「豊岡近辺も少なくなったよなあ。」と思いました。
さて、このノジスミレ『京都府レッドデータブック2015』では、めでたいことに絶滅危惧種ではなくなりました。これが、増えたのか、調査不足だったのがたくさん発見されたのかは、分かりません。
但馬においてもここ数年でよく見るようになったのは私の実感です。特に今年は至るところで見ました。
例えば、コウノトリ市民研究所の4月の田んぼの学校「タンポポなど春の草」でたくさん見ました。十年以上に渡って毎年同じコースで実施しているのですが、ノジスミレを見たのは今年が初めてです。一番身近にあったんだと拍子抜けしました。
田んぼの学校で、どうしてこれまで見つからなかったのか? それは、時期が関係しているのだと思います。例年、スミレは見つかっていましたが、ノジスミレは見つかっていません。今年は逆でした。ノジスミレはスミレより早く咲きます。他のスミレたちが結構長くだらだらと咲き続ける中でノジスミレは短期集中で咲き終わるようです。しかも、周りの草が一気に大きくなってノジスミレを隠してしまいます。今年は大雪で春が遅かったので例年ならスミレの時期なのにノジスミレが咲いていたのだと思います。毎年、花の終わったノジスミレは草に埋もれて目立たなくなって私や子どもたちに気づかれずに来た。と、まあ、こんなことを考えています。
ノジスミレは、スミレとよく似た茎のないスミレです。スミレとの違いは、葉や花の柄に白い短い毛が多いことです。スミレは無毛です。ノジスミレは花を正面から見ると花の中に毛が生えていませんが、スミレは中央付近の左右に毛が生えています。花の形も少し違っていてスミレが整った形をしているのに対して、失礼な表現ですが「だらしない感じがする」などと図鑑に書かれていたりします。
コウノトリの郷公園の近くの農地や駐車場には、茎のないスミレとしては他に小型のヒメスミレと白い花を咲かせるアリアケスミレが生えています。山に入るとシハイスミレが生えています。