トチノキは、但馬の奥山の沢すじに多い木です。
幹周りが3mを越える巨木が結構あります。
その花は、500個近いが集まってソフトクリームみたいな形になります。
満開2日目。蜜が大量に出ているのだろうハチがたくさん舞っていた。
一つ一つの花を見ると色の違いに気づきます。
もっともその観察は容易ではありません。山奥にある上に、花が咲くまで30~40年もかかるので、花の位置が高くて間近にみることが難しいのです。日高のこの場所は、観察にもってこいの場所です。
トチノキにとっては条件のよくない場所なので樹高は高くなれない。
花の中心を見ます。
黄色いものと赤いものがあるのに気づきます。これは、虫へのメッセージなのだそうです。花びらの基部にあるこの色づいている部分は蜜標と呼ばれるものです。ここに蜜があると虫に知らせているのです。
斑紋は黄色。
斑紋は赤。
蜜標は、最初は黄色です。これがやがて赤になります。開花から3日間は黄色です。この間は蜜が盛んに出ていて、花粉も作り出しています。蜜を目当てにやってきたハナバチたちは花粉を運んでくれます。4日目になると蜜も花粉も新たに出てきません。色は淡い紅色~赤色に変化します。花としての役目を終えたことを知らせているのです。
まだ赤は少ない。
この花からのお知らせを読み解けるのはハナバチの仲間だけです。彼らは、色が赤に変わると花を訪れなくなります。しかし、他の訪花昆虫たちは、黄色にも赤にも同じように訪れます。花粉を運んでくれるハナバチの仲間にだけトチノキがサービスをしているようなものです。
セイヨウトチノキ(マロニエ)も同じように黄色から赤になるのだろう。