ヨメナ
ヨメナを漢字で書くと嫁菜(よめな)です。ムコナに対する名前なのだそうです。これがどうしてヨメナという名前が付いたかという説の一番目です。ムコナというのがどんな植物なのかはまた調べておきますね。
二番目の説です。春の若菜(わかな)の中ではおいしくて、花も美しいので嫁になったという説です。確かにヨメナはなかなかおしいです。あとで簡単に食べ方を教えます。花も美しく野菊と呼ばれたりもします。
嫁というのは、姫のように小さいという説もあります。しかし何と比べて小さいのでしょうか? その他の説もありますが、もう名前の話は終わります。
ヨメナは、田んぼや畑や道ばたなどのやや湿ったところに生えています。山ぎわなど土が乾いたところに生えていたらよく似ていてもたぶんヨメナではありません。ノコンギクとかシロヨメナとかの別の野菊です。見分け方はあとで説明します。
ヨメナは多年草です。冬の間は地面の中の地下茎が生きていて春になるのを待っています。ヨメナの根元を掘るともやしのような白いものが地面と平行に広がっています。これが地下茎です。ヨメナはこれで広がります。ですから一度、生えると毎年同じ場所で花を咲かせます。
よく似た種類を見分けるには花を分解するのが確実な方法です。
実は、一つの花に見えるものは花のかたまりです。真ん中の黄色い部分、周りの白い花びらの部分、ていねいに分解すると、黄色い部分が50~70くらいに、花びらが20ほどになります。その一つ一つが1個の花なのです。虫めがねでみるとちゃんとおしべとめしべがあるのがわかります。
この仲間には、冠毛(かんもう)があります。冠毛というのは、タンポポの綿毛のようなものです。ヨメナには、0.5mmという非常に短くてわからないほどの長さの冠毛があります。ノコンギクなどは、冠毛が4~6mmの長さです。ですから一目で分かります。
(ノコンギクの仲間の冠毛の写真を載せておきます)
もう一つ見分け方があります。葉の手触り(てざわり)です。ヨメナはつるつるですが、ノコンギクなどは毛が生えていてざらざらです。手触りでも分かりますが、なめるとさらによく分かります。でも、散歩している犬がおしっこをかけているかもしれませんし注意が必要ですね。
さて、見分け方を書いてきたのには理由があります。それはヨメナはおいしいけどノコンギクなどはおいしくないのです。咲いている花だけを見て場所を覚え、翌年、食べてまずかったとなると困るなあと思ったのです。
食べ方です。
ヨメナは野草です。野菜ではありません。独特のくせがあります。
自然からのおすそわけです。節度を持って利用してください。そうすれば毎年楽しめます。
春に若葉が伸びて5~6cmになったころにつみ取ります。
天ぷら、汁の実、和え物、おひたし、ヨメナご飯にも使います。
独特の香りを味わいますから、ゆですぎないように気をつけ、2~3時間水さらしてしてから使います。
民間療法(りょうほう)では、全草を乾燥したものを煎(せん)じて、解熱(げねつ)・利尿剤(りにょうざい)に用います。花をホワイトリカーにつけて飲む人もあります。
今回は第1回目なのでちょっとがんばってたくさん書いてみました。
写真は、ヨメナの花
シロヨメナの花と冠毛