カタホコリ属をざっくり説明すると、腐葉土や落ち葉などを探すと見つかる変形菌(葉っぱ系の変形菌)の代表的なグループで、子嚢壁に星形や角型の石灰結晶があるのが特徴。種類はたくさんあり、外見だけではなかなか種の同定は難しい。
しかし、今回紹介するクラカタホコリは比較的わかりやすい種ではないかと思う。
子嚢の形が特徴的である。つまり、図鑑の表現で言うと「扁球形・円盤型またはしばしば裂片上になり、上部と基部はへそ状。」である。
この説明を読んでもよく分からないのであるが、球形が大きくゆがんでおり、複数が集まったようでもあり、ようするにランダムな形なのである。
和名の由来通り鞍(くら)、つまり馬に乗るための「鞍」のような形をしているものがよく見られ、印象に残る形である。
梅雨時の晴れ間に豊岡市街地近くの稲荷神社進入路脇落ち葉が堆積したところの葉っぱをめくると葉っぱ系の変形菌たちが発生していた。
その日はクラカタホコリが最も優勢であった。
柄は円筒形で縦溝があり淡黄褐色から橙色で半透明、基部はより暗色。小さな白い星形石灰結晶を纏う子嚢を割ってみると、黒褐色の胞子の中に亜球形から円盤の擬軸柱を見ることができる。
日本変形菌誌(山本幸憲、2021年、日本変形菌誌作成委員会)では「おもに夏に落葉広葉樹のリターなどにふつう」と記載されている。
私は今年初めて観察したのであるが、梅雨時の晴れ間に豊岡市街地近くの里山の落葉広葉樹のリターで大量に確認することができた。
初めて見つけたときは、その図鑑通りの形がとても嬉しかったが、探すコツがわかると、出るところにはいくらでもいるという感じで、同様の環境の他の場所でも観察することができた。但馬では普通種であると思う。高さ1.8㎜まで。