キラボシカタホコリ
キラボシカタホコリ。キラキラ系変形菌。黄金のキラボシを全身に纏う。多くの変形菌ファンから「キラボシさん」と呼ばれる。華やかで美しい。変形菌界のスター。
子実体は単子嚢体が群生、亜球体の子嚢で子嚢壁は暗褐色、普通は太い柄を持ち、全体に金~黄~白色の大きな星型の石灰結晶を纏う。つまりキラ星を全身に纏っているかのようである。柄から発生基物にかけて金粉をちりばめたようになっていることが多いのも特徴。日本変形菌誌(2021年、山本幸憲、日本変形菌誌製作委員会)によると、「春から秋にリターなどにやや稀。」とのこと。
本年6月22日に豊岡市内森林公園へ上がる舗装道路側溝に足をおろし腰かけ、その横の落ち葉を適当にめくっていく。梅雨時の晴れ間、落ち葉系の変形菌子実体がたくさん発生している。多くはヒメカタホコリらしきものであるが、いくらかの確率でそれ以外のものにヒットする。
黄色っぽい粒々に当たった。やや未熟な感じで現場では良く分からなかったのだが、家に戻りフェイスブックの粘菌グループをチェックすると、香川県の方がよく似たものをアップされていて、それに対してキラボシさんではとのコメントを発見。驚いて自分の採取してきたものをしっかり調べてみると、成熟度も進んだこともあってか、まぎれもないキラボシカタホコリであることが分かった。
驚いたことに同じ日に、朝来市在住の日本変形菌研究会会員の枡岡氏も朝来市のフィールドでキラボシカタホコリを発見しフェイスブックに報告されている。翌日私はもしやと思い、豊岡市街地近くの同じような山中坂道側溝横の落ち葉をめくってみると予想が的中?、そこでもキラボシさんを発見。つまり、6月22日に豊岡市と朝来市と香川県坂出市で、翌23日には豊岡市の10kmほど離れた別の場所で、ほぼ同時に計4か所で発生が確認されたということである。
梅雨が明けると落ち葉系の変形菌たちはすっかり見かけなくなってしまったが、全く居なくなったという訳ではなく、7月30日に新温泉町久斗山で変形菌観察会があり参加したのであるが、一緒に参加していた枡岡氏は無造作に落ち葉をめくり難なくキラボシさんを発見してしまった。これで、但馬では豊岡市、朝来町、新温泉町で確認されたことになる。おそらく探せば各地に普通だろう。
「春から秋にリターなどにやや稀。」というのが但馬においてどうなのかについては、少なくとも数シーズン観察して考察すべきだと思うが、キラボシさんはスターだけあってファンの期待に応えてくれる変形菌なのである。