ユウスゲが見ごろの季節を迎え、海岸の有名な自生地に観察に行ってみました。太陽が海に落ちるには少し早い時刻になって、注目していたユウスゲの株に、赤い虫が羽音をたてながら飛んで来て花の裏側に止まりました。最初はハチかと思っていました。虫が姿を現すのを待ち、出てきたのを見て心が躍りました。
南方系のオオキンカメムシです。体長25mmほどもある大型のカメムシで、まだまだその生態は多くの謎に包まれているらしいです。海岸線のアブラギリやツバキ、ミカン類に付くとのことで、成虫越冬時にはそれらの食草の葉裏に集団で見つかるとのこと。
橙色に黒い大きな斑点がよく目立ち、体全体に非常に強い光沢を持っています。この写真はストロー状の口吻を延ばして、花に付いた水分か蜜を吸っているところです。頭の輝きはまるで宝石のようです。
腹の裏側も美しい光沢を放っていて、甲虫類の中でも魅力のある一種です。但馬地方での目撃数は多くありませんが、温暖化の進行と共に、生息数を延ばしつつあるようです。繁殖は海岸線が中心のようで、今回の観察個体もメスであり、照葉樹林帯のツバキ、トベラなどに産卵のために訪れたところだったのかも知れません。
少し目を離したすきに姿を消してしまいましたが、夕暮れのユウスゲ観察で思いがけなく嬉しい出会いとなりました。