記録をさかのぼれば、私自身の前回の観察は2013年11月となっています。今回、実に10年ぶりのイスカの飛来観察となりました。しかも前回と同じ山域で、餌場も同じアカマツでの再会。今シーズンは全国的にイスカの飛来がみられ、めったに会えない美しい野鳥の観察が続いている様子。
英名Crossbillは直訳で「交差するくちばし」です。イスカの特徴を一言で表現しています。イスカの主食は松の実です。松ぼっくりをこじ開け、中の実を取り出すのに、このクロスしたくちばしが実に役に立っています。松の実を食べるために進化したくちばし形状です。クロスの方向は一様でなく。個体によりまちまちです。
くちばしの形がイスカを厳(いか)つい顔に見せていますが、オスの深い赤は他の野鳥にはない、魅惑的な色です。
イスカのメスです。オスとはまったく違う羽根色をしています。くちばしの形状はオスと同様で、雌雄の群れとなって松ぼっくりを割っています。枝を切り離された松ぼっくりを樹上からボトボトと落とすので、地面に松ぼっくりが落ちる音でイスカが上にいることがわかります。
晩秋に越冬飛来したイスカたち。アプローチの林道がやがて雪で塞がれ、観察者も来なくなります。ゆっくりと松の実を食べて、但馬の冬を過ごしてください。