クロジという名の野鳥がいます。ホオジロ科の鳥で兵庫県レッドデータBランクに指定されています。但馬では、繁殖期の標高の高い山地で観察できますが、藪の中に潜んでいることが多く、なかなかその姿を見ることはできません。オスは「ホーィ・チョイチョイ」と聞こえる独特のさえずりをしますので、声だけでその存在を知ることができます。
クロジは冬になると山をおりて来ます。里山の暗い藪に潜んでおり、地上に落ちた植物の種子を主に食べて暮らしています。まとまった雪で積雪量が増えるとクロジの観察チャンスです。林床が雪で覆われると、餌を求めて林縁の除雪されている生活道路に出てきます。雪解け水で流されて道路に散らばった種子を食べに来るのです。
写真はクロジの成鳥オスです。名前のとおり、黒い色をしています。真っ黒というより墨の色といった感じです。
この個体はオスの幼鳥です。第1回冬羽と言って、昨年生まれの幼鳥が初めて迎える冬の羽根です。先の成鳥オスに比べて、かなり黒みが少ないことがわかります。褐色の羽根がまだたくさん残っています。
これは成鳥メスです。全身褐色系で、お腹も白っぽいです。私はクロジのメスを今回の観察で初めて見ることができました。渋い色目ですが、クリっとした目の上下に黄色のアイラインがあり、とてもチャーミング。
雪の後の里山の道路際には、いろんな野鳥が同じように餌を求めて出てきます。そんな冬の野鳥たちの姿を、少し離れた車の中から観察すると、たくさんの発見があると思います。