たじまのしぜん

ヒバリ

田んぼで暮らすおなじみの鳥

冬の間、豊岡盆地に広がっていた冬期湛水田は、3月に入るとすぐに水が落とされます。再び空気に触れた大地にトラクターが耕うんする風景にも、春の訪れを感じます。田んぼが活気を取り戻す頃、聞き慣れた「ピーチク・パーチク」の早口のさえずりが聞こえてきます。ヒバリです。

ヒバリは1年を通して田んぼで暮らす鳥です。春先にさえずりだせば、姿を見なくてもヒバリの存在に誰もが気づきますが、繁殖を終えて鳴かなくなる夏以降の季節に、ヒバリが田んぼにいることに気づく人は少ないでしょう。

上の写真のとおり、ヒバリの羽根は土に同化する色模様になっています。地面に伏せてじっとしていれば、まず人や天敵から見つかることもありません。派手な歌声に反して、体はいたって地味です。頭のてっぺんを見て下さい。冠羽と呼ばれる、飾り羽が半分ほど立ち上がっているのが分かります。普段は畳んで平べったい頭頂部ですが、興奮すると冠羽を立てます。

ヒバリは田んぼの草陰に巣を作ります。鳥の巣はたいがい巧みにカムフラージュされているので、ヒバリの巣も、探そうと思っても見つけることはかなり難しいでしょう。不審者が巣に近づくとその場から垂直にホバリングしながら上昇します。警戒の声を出しながら、どんどん高くのぼって行きます。

やがて、重力にまかせてスーッと空から地上に落ちるように下ります。しかも、最初に飛び上がった巣のある場所とは別の、少し離れた場所に着地するのです。敵の目をあざむく巧妙なフェイクです。

この写真は、ヒバリの巣にホウロクシギが近寄ってきて、ヒバリが飛び立ったところです。このあと、垂直に高く高く上がって行きました。

多くの鳥は、体の清潔を保つ日常行動として水浴びをします。水たまりに小鳥が入って水しぶきを上げているシーンを見かけたことがあるでしょう。ところが、ヒバリは水浴びをしません。その代わりに砂浴びをするのです。水と砂が違うだけで、目的は同じです。砂浴びをする鳥も少なからずいます。スズメは水浴びと砂浴びをする珍しいタイプです。

美空ひばりさんという、偉大な昭和の歌手がいました。美しい空に上昇しながら、美しく歌い続けるヒバリのようにという願いがこめられているのでしょう。豊かな田んぼの生態系の一員を担うヒバリ。毎年この季節になると、当たり前にそこにいる地味な野鳥の存在に意識を向けることになります。

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