昨冬の豊岡盆地の野鳥シーンで、とりわけ話題になったのがハイイロチュウヒのオス。タカ科の冬鳥として、個体数は少ないものの、茶色いメスは定期的に越冬飛来します。灰色のオスの越冬飛来はまれで、数年に一度の観察頻度。それだけに、ハイイロチュウヒのオス飛来の情報が伝わると、たくさんの野鳥カメラマンが出没ポイントに一日中待機するようになります。
ハイイロチュウヒの大きな特徴の一つは、超低空飛行でフラフラと地上近くを飛び続けること。獲物を見つけると、足をおろしてストンと落ちるようにして捕まえます。草藪に隠れていた小鳥も、ハイイロチュウヒの唐突な襲撃には逃げるすべもありません。ただし、ハイイロチュウヒの狩り場の範囲は広大で、今回の個体でも豊岡盆地の谷筋をくまなく出入りし、郊外の但東町でも目撃例がありました。
まとまった雪が積もると、雪の上に顔を出す二番穂のエリアも限られてきます。当然、二番穂を餌にしている小鳥の集まる場所も限定的になり、ハイイロチュウヒの狩はよりしやすくなります。カワラヒワが何度も犠牲になる様子を観察しました。
トビと空中で絡んだ時の写真です。ハイイロチュウヒの体の大きさがわかります。灰色の頭に黄色いキリっとした目が輝くハイイロチュウヒのオスは、ほんとうに神々しく見えます。多くの野鳥カメラマンを魅了してやまない理由も頷けます。