円山川のヨシ原は10月から11月にかけて多くの渡り鳥が旅の中継地として利用しています。環境省による鳥類標識調査の指定ポイントになっており、資格を持った専門員がカスミ網で鳥を一時捕獲し、番号を打った足環を装着したり、捕獲した鳥に足環がある場合は、その番号を記録したりして、鳥の渡りのルート解明に役立てています。
カスミ網に時々掛かるくらいで、普段の目視観察はでまずお目にかかれない鳥もいて、今回紹介するのはその一つ。シマセンニュウといいます。スズメ目センニュウ科に属し、見た目はオオヨシキリに似ています。オオヨシキリとコヨシキリの中間くらいの大きさ。
この時期の鳥は囀らないので、似たような種の識別は難しいです。今回も、オギの穂先に出て来て虫を捕まえた地味な鳥を見て、最初はオオヨシキリと思ってみていました。しかし、それにしては小さいし、やさしい顔つきだし、色も薄目。
だんだんとオオヨシキリではないなと思い始めましたが、他に思い浮かぶ名前がありません。ここで標識調査をしている友人に写真を送って同定を依頼しました。
教えられた識別ポイントを白丸で示します。シマセンニュウは尾羽の先端に明瞭な白斑が入るとのことでした。ヨシキリにはこれがありません。
かつて一度だけ、田んぼで偶然見かけて以来、シマセンニュウは観察できなかった鳥の一つです。日本では北海道で繁殖し、他の地域では渡りの時期に一時的に観察されるのみ。しかも、草やぶの奥深く「潜入」してめったに目につくところに出てきません。
今回はたまたま餌採りに出てきたところを目撃できました。人知れず、このような鳥がひっそり天敵に見つからないよう、越冬地への長旅を続けているのです。