シベリアから越冬のために南に渡るシギ・チドリは、当地方では渡りの途中に一時的に観察される「旅鳥」がほとんどです。当地で越冬するシギもいくつかいて、今回紹介するクサシギもそのひとつ。
クサシギはお腹が白く、上面は灰褐色に点状の白斑があります。これとよく似たシギにタカブシギがいますが、タカブシギは当地で越冬することはまずありません。春と秋の渡りの時期にタカブシギは群れで観察され、クサシギとの識別に迷うこともあります。タカブシギの頭部には白い眉斑があり、上部の斑はクサシギより大きいなどの特徴から識別できるでしょう。
冬の間、クサシギをよく見かけるのは田んぼの用水路の中です。クサシギがいるのに気づかずに近くを通ると、「キュイ・キュイ」と鋭い声を上げて飛び立ちます。このとき、地上におりていると見えない尾の付け根(上尾筒)の白がぱっと目立ちます。
越冬クサシギはほとんどの場合単独で、群れることはありません。冬が終わっても春の遅くまでとどまり、繁殖のための短い期間だけ当地から姿を消します。