12月29日、豊岡市伊豆地区の田んぼで越冬に入ったコハクチョウ9羽の群れの中に、1羽のマナヅルを見つけました。このマナヅルは前日まで京丹後市久美浜町で一ヶ月間観察されていたものと同一個体に違いありません。
数年前に六方田んぼで越冬したソデグロヅルを観察してきた経験から、この時期に飛来したマナヅルはこのままここで越冬するだろうと思い、以後、飛来情報をネット等で公開することなく静かに見守ることにしました。
新年が開けても、マナヅルは飛来時と同じエリアに留まり続けました。行動範囲は非常に狭いエリアに限られ、ひとつの田んぼを隅から隅まで往復しながら、時にはイネの二番穂、時には水田雑草の根、時には小動物と、一日中顔を地面に向けて餌を食べ続けました。冬期湛水田はコハクチョウやマナヅルの安全地帯として機能しており、観察者などが接近すると水面に移動して警戒を続けるという行動を見せます。
また、冬期湛水田は水鳥の安全なねぐらとしての機能も果たしており、コハクチョウとマナヅルが同じ湛水田でねぐら入りした様子も観察しました。
マナヅルがコウノトリと一緒に同じ湛水田でねぐら入りしているのも観察しました。
常駐場所で農耕作業が行われると、少し北の田んぼに移動して一日中餌を食べ続けていました。日没とともに、いつもの冬期湛水田に飛んで戻りました。
ソデグロヅルもそうでしたが、マナヅルも時々「踊り」を舞います。繁殖相手に対してではなく、単独生活の中でも彼らは本能的にこのような「踊り」の行動を見せるようです。
2月25日の朝、私がマナヅルを見た最後のシーンです。数日前から。姿が見えなくなるほど空高く舞い上がる行動を見せており、飛去のタイミングを図っている様子でした。この朝は気温は下がりましたが、晴れのよい天気になりました。マナヅルはこの日を北に向かう時と決めたようです。同日夕刻以降、マナヅルの姿を見かけることはありませんでした。ちょうど2ヶ月間のマナヅルの越冬滞在でした。