但馬で冬を過ごしたカモの多くは、すでにシベリアや北極圏の繁殖地へと帰って行きました。まだ残っているものも、これから北を目指し旅立つでしょう。カモが少なくなった水辺では、これまで多くのカモの中に紛れて目立つことのなかった種に観察の目が向きます。今回紹介するオカヨシガモも、そのひとつです。
カモはオスの方が綺麗な羽根を持ち、メスは茶色の地味な色をしているものがほとんどです。上の写真はオカヨシガモのペアで、手前がオスで奥がメスです。どうでしょう、ずいぶん地味なオスですね。オカヨシガモの識別で一番よく目立つのが「お尻の黒」です。尾羽の付け根の上尾筒と下尾筒が黒いのです。
オスが伸び上がったシーンです。頭頂部と喉に淡く赤い色が混じります。胸はウロコ模様です。翼の翼鏡が白いのもオカヨシガモの特徴です。
汽水域の閉鎖湿地で、水中の植物を逆立ちして採食していました。逆立ちするとオレンジ色の脚がよく目立ちます。
オカヨシガモは派手なところはないですが、ベテランバーダーにはその渋い魅力が人気となっています。
写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信