「コウノトリ育む農法」の広がりとともに、冬の田んぼに水を張る冬季湛水田の面積も増えてきました。そんな冬の豊岡盆地ではコハクチョウの越冬飛来が定着しています。今冬の初飛来は例年より遅めでしたが、入れ替わり立ち代りしながら、いくつかのグループが越冬に入っている様子です。2013年年明けの時点で、豊岡盆地のコハクチョウの様子をまとめておきます。
2012年12月1日
成鳥2羽と幼鳥2羽の4羽の群れが、六方田んぼ百合地の田んぼに飛来しました。この4羽が今期の私の初観察ですが、それ以前にも円山川上空を北西に向かう群れが目撃されています。
4羽は悪天候を避けて、西の越冬地へ向かう途中に一時的に飛来した模様で、翌朝には姿を消していました。
2012年12月15日
六方田んぼ百合地で単独の成鳥1羽を確認しました。はぐれ鳥でしょう。その後に飛来した別グループと合流した様子です。
2012年12月22日
今冬は収穫の都合で水張りが遅れた六方田んぼ河谷地区も、12月の半ば過ぎになると湛水田が広がりました。年末にかけて、百合地・河谷エリアの湛水田にコハクチョウが集まりだし、6羽のグループが年を越しました。
2013年1月6日
年明けとともに新たなグループが飛来し、六方田んぼでは一時12羽のコハクチョウが観察されました。7羽のグループと5羽のグループの2つの群れが、それぞれの餌場を確保して日中過ごしているようです。写真は新しく飛来した成鳥2羽と幼鳥3羽のグループで、伊豆地区の田んぼで餌をとっていました。
豊岡盆地のすべての田んぼを毎日くまなく巡回調査しているわけではないので、ここで紹介した記録がすべてではありません。別の地区にも別のグループが飛来しているかもしれませんし、移動してしまったり、また新たなグループが飛来したりと、渡り鳥の越冬状況は常に変化を続けています。
ほんの数年前には、コハクチョウが田んぼにいるだけで珍しさに大騒ぎしたものですが、現在の豊岡盆地の状況を見るにつけ、田んぼの中に広い内水面がある環境がいかにコハクチョウにとって魅力的であるかが分かります。豊岡盆地で冬を過ごすコハクチョウの姿を、皆さんもぜひ観察してみてください。
写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信