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苦労の多い越冬暮らし

フクロウは最も人気のある鳥のひとつでしょう。観光地の土産物売り場で、フクロウのアクセサリや置物を見ないことはまずありません。語感から「福」を連想したり、「不苦労」の当て字で縁起をかついだり、とかくもてはやされる鳥です。
しかし、実際にはフクロウは不苦労どころか、とても苦労の多い生活をしているのです。今回は、フクロウ科コミミズクの苦労話をします。

コミミズクの活動場所は河原やその近くの荒地です。そこにはエサとなる野ネズミがたくさんいるからです。夜行性のコミミズクは、夕方になると活動を始めます。ネズミの気配を空中から探しながらパトロール飛行を続けます。ついついエサ探しに夢中になってしまうコミミズク。そんなコミミズクを堤防の上でじっと身をひそめて待っているものがいました。オオタカです。一瞬の出来事でした。飛んでいるコミミズクにオオタカが猛スピードで突進。一撃で地上に落とされてしまいました。
このときはその様子を見ていたカラス軍団にたちまち囲まれて、オオタカはせっかく狩ったコミミズクを放棄して逃げてしまいました。このままカラスに食べられるのを黙って見過ごすのに忍びなく、落ちて動けないコミミズクを助けに行きましたが結局すぐに死んでしまいました。

コミミズクは夜行性ですが、気象条件やエサの状況などによっては、日中でも姿を現します。飛ぶと白い体はよく目立ち、丸い平面的な顔に黄色い目が魅力的です。昼間休んでいるときは、草むらの中で草に化けてじっと目を閉じています。一旦活動を始めると、このようにとても目立つ場所に下り、回りをきょろきょろして警戒します。
そんなコミミズクを写真に撮ろうと、大きなレンズをつけたカメラマンが三脚を立てて一日中待機します。ネズミを追いかけようと出てきたコミミズクは、逆に人に追いかけられることになるのです。

雪が続くと夜のネズミ狩りもうまく行かないのでしょう。昼間、こうして田んぼの真ん中に出てきて休んでいる姿を見ることも度々です。
雪でネズミの姿が見えないのに、コミミズクはネズミを捕まえます。コミミズクはネズミが出す高い声を空から聞き分けて、雪の中のネズミを探し当てることができるのです。ネズミの位置を音だけで見つけると、ズボっと雪の中に突進して鋭い爪で捕まえるのです。

こうして苦労してネズミを捕まえると、今度は横取りを狙ってトビやカラスがすぐに寄ってきます。トビやカラスはコミミズクが狩りを始めると、その周囲に集まり始めます。そうしてコミミズクがネズミを捕まえるのを待っているのです。
コミミズクが捕まえたネズミを食べる前に、トビやカラスは横取りしようとします。ネズミをつかんだままコミミズクは空に逃げますが、トビやカラスの横取り攻撃は手をゆるめません。どこまでも追いかけ続け、とうとうコミミズクが根負けして空中でネズミを放棄すると、落下するネズミをトビたちは空中キャッチで捕まえて食べてしまいます。

このように、コミミズクの越冬生活は決して「不苦労」ではなく、苦労の連続です。冬の終わりに河原を歩くと、コミミズクが何者かに食べられたあとが残っていることがあります。最初に紹介したとおり、オオタカなどのタカやキツネかネコに襲われたのでしょう。
コミミズクが越冬する円山川の河原は、ネズミがたくさんすんでいるという証しでもあります。ネズミがたくさんいる環境は、ネズミのエサとなる小さな生きものもたくさんいるということです。コミミズクだけに目を向けるのではなく、そこに繋がる多くの生きものたちのことにも考えをめぐらせてみましょう。
写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信

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